野生のカンって何なのさ

わたしは自他ともに認める「方向音痴」である。この仕事をはじめた頃は、まだ原稿や写真の現像・データの受け渡しを「おつかい」と言って社員が先方まで届けていたという背景があり、入社したてのころはよく、笑顔のタローに大きな紙袋と地図を渡されたものだ。が、3回に1度くらいの頻度で道に迷い、何度も会社に電話をかけ「道に迷ってしまいました〜」「今どこ? 周りに何がある?」「ええと…黄色い建物と…遠くにまるい建物が…」「三角の建物はないか?」のような会話がされていた。あるときには同名の会社にたどりつき、「タローさん!『うちじゃありません』と入り口でお断りされましたよ!」と会社に電話をかけたら「それは別の会社だ!」と、電話片手に現在地をたしかめ、ようやくお届け先にたどり着くということもあった。そんなわけで「こいつ使えないなー」と思われるまでに時間はかからず、ちょうど同期にバイクの運転も上手くて道にも詳しい人がいたので、そのうち「おつかい」の仕事はわたしにはほとんど回ってこなくなって、現在がある。えーと…つい昔話が長くなってしまったので話を戻そう。とにかく車やバイクでも新しい道は苦手で、まず一回でまともにたどり着けたためしがなかった。だからできないならできないなりに努力したらいいだけの話じゃないかと自分に言い聞かせ、時間のゆるす限り、事前に徒歩や自転車、あるいは交通量の少ない時間を見計らっての事前ドライブで何度も道を確認して行くようにしていた。ところが、最近、気がつくと新しい道を通っていても、「あれ、ここはこの二つ先で右折して行けば左手に目的地があるな」といった具合に「ここかな」という見当がはずれないので、割とスムーズにたどりつけるからおもしろい。おそらくは日常の何かが、この野生のカンなのか思考回路なのかはわからないが、そこに、いい具合にはたらいているのではないかと思う。ああやった、これでバイク乗りには恥ずかしい「方向音痴」というレッテルがはがされる!…と喜んでいた矢先、近日おこなわれる会社の新年会の会場を知らせる案内と地図が手元に届いた。が、「え…これ、どこ??」となり、パソコンでもっとひいた地図を探し…航空写真も併用してようやく位置情報がつながり…そしてようやく会場の場所を把握できた次第である。なんだ、やっぱり方向音痴が治ったというのはただの気のせいであった。おかしいなあ…運転だとうまくいくんだけどな(苦笑)。

チャンカメ

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チャンカメ

タンスタ創刊号の〆切間際に入社した古株女子だが貫禄はまるでナシ。かわいい=へんなものについつい手が伸び、デスク周りは癒やし(?)小物だらけ、少々アク抜きの必要な40代。イラスト担当。愛車は現在Z250。乗るたびに ”最近のバイクはすごいな〜” と可愛さ倍増中☆

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