ROYAL ENFIELD SUPER METEOR650 / TOURER

ROYAL ENFIELD SUPER METEOR650(2023年モデル)走行イメージ

ROYAL ENFIELD SUPER METEOR650(2023年モデル)タンク
ROYAL ENFIELD SUPER METEOR650(2023年モデル)サイド

ロイヤルエンフィールドが、EICMA2022で発表した新型車スーパーメテオ650およびスーパーメテオ650ツアラーの国際試乗会を、本拠地であるインドで開催した。ここでは、その試乗で感じたことをお伝えする。

文:河野正士/写真:長谷川 徹/協力:ロイヤルエンフィールド東京ショールーム

新感覚! キビキビと走るミドルクルーザー

ROYAL ENFIELD SUPER METEOR650 / TOURERのスタイリング

SUPER METEOR650
SUPER METEOR650 TOURER

細部まで作り込まれたアクティブクルーザー

ROYAL ENFIELD SUPER METEOR650(2023年モデル)走行イメージ

 

ロイヤルエンフィールド(以下RE)は、新型車スーパーメテオ650をクルーザーにカテゴライズしている。REのラインナップにはすでにライトクルーザーと呼ぶメテオ350をラインナップしスーパーメテオ650を加えたことで、小排気量/大排気量それぞれのクルーザーモデルを有し、それによってREクルーザーカテゴリーを盤石にする考えだ。クルーザーと言えば、長距離を快適に、そしてすばやく移動するために、そのスタイルやパフォーマンスが決定されている。その点においてスーパーメテオ650はクルーザーとして求められる要素をしっかりと考えて作り込まれている。

 

その一つが排気量648㏄空冷OHC4バルブ並列2気筒エンジンだ。それは2018年からREがラインナップしているコンチネンタルGT650やINT650に搭載されているモノである。270度クランク採用の2気筒エンジンらしいドコドコとした排気音ながら振動が少なく、低回転から力強いトルクが発生し、なめらかな回転上昇でとても扱いやすい。さらにアクセルをひねると、それまでなめらかだったエンジンはビート感を増し、ツインらしい伸びが高回転域まで続く。とても個性的でライダーをワクワクさせるフィーリングを持っている。

 

スーパーメテオ650も、その扱いやすさと力強さ、そして個性的なキャラクターを受け継いでいるが、ツアラーらしさを求めて、さらに低回転域でのトルクと扱いやすさを高めたという。具体的には、新型フレームにエンジンを搭載するためにエアクリーナーボックスの形状や容量、それに排気系を変更。それに合わせECU(エンジン・コントロール・ユニット)のプログラムを変更することで目標を達成。最高出力や最大トルクは先の2モデルとほとんど変わらないが、その発生回数も低回転側に移行させている。

 

その新しいエンジン特性によって、たとえたくさんの荷物を積んでいたり、タンデムしても、それをさほど意識することなく、いつもどおりのアクセル&クラッチ操作で、車体をグイグイ前に進めてくれるのだ。それでいながら、高速道路ではギヤを6速固定のまま100㎞/h、さらには120㎞/hからアクセルを開けても、力強くすばやい追い越し加速をみせる。1000㏄を越える大排気量エンジン搭載車なら容易いが、648㏄の2気筒エンジンであることを考慮すると、その反応は十分すぎるほどだ。

 

そして、クルーザーらしさのもう一つの要因はフレームだ。REはスーパーメテオ650のクルーザースタイルを完成させるために新型フレームを開発。クルーザーモデルは、低いシート高や手前に引いたハンドルによって作り出される、リラックスしたライディングポジションが特徴だ。新型フレームは、その低シート高の実現に大きく貢献しているが、それだけではない。“スティール・チューブラースパイン”と呼ばれる形状を採用。それは背骨のようなメインフレームがエンジンを吊り下げるように抱えている。それによってエンジンを車体の低い位置に搭載することが最大のねらいだ。その結果、低重心化が実現し、走行安定性が高まっている。

 

実際に走らせてみると、その効果は絶大だ。コンチネンタルGT650やINT650から30㎏ほど車重が重くなっているが、サイドスタンドから車体を起こすとき、その重さをさほど感じないし、サイドカバーの張り出しが多いものの、それでも身長170㎝のライダーでも両足をしっかりと地面につけられる足つき性のよさは絶大な安心感を生む。そこからクラッチをミートして走り出せば、車重が重くなったことをさらに意識しなくなる。

 

街中では、加減速によって前後左右に重心が変動することで車体が不安定になりがちだが、低重心化によって重心変動による影響を受けにくい。要するに、車体がフラフラしない。また高速道路などスピードレンジが高い状況でも、その安定感は変わらない。なにより車体の重心とライダーの重心が近い場所にあることで走行中の安心感が高く、ライダーが何かアクションを起こして車体を反応させたいときにも、その反応がすばやいのだ。

 

この車体の反応は、エンジンのレスポンスや出力特性も大きく影響している。アクセル操作に対する反応がいいうえ、低回転域から豊かなトルクが起ち上がり、それが高回転まで続くフラットなトルク特性なのだ。しかもエンジン回転上昇がなめらかで振動も少ない。ライダーがエンジンを回して力強く加速しようと強く意識しなくても、スルスルと車体が前に出てくれる。その反応のどこにも尖ったところがない。それはツーリングモデルであるスーパーメテオ650にとって、強力なメリットとなるだろう。

 

ROYAL ENFIELD SUPER METEOR650 TOURER(2023年モデル)走行イメージ

 

今回の試乗では、日本よりも少し速い速度で高速道路を巡航する機会もあった。スーパーメテオ650は、そこでの安定感も抜群だった。ちなみに足を投げ出したあたりにステップがあるフォワード・コントロールを採用している。そのためコーナーに侵入し、深くバンクするとステップに乗せた足のカカトが路面に接地するような場面もあったが、そんな状況でも車体の安定感は変わらない。REが試乗コース中に組み込んでくれたワインディングは、日本のそれとは違ってコーナーの曲率も緩やかで大らかなコーナーが続く場所だったが、そこでの走りも十分に楽しむことができた。ブレーキやアクセルの操作による前後の重心移動や、ライダーが積極的に動いて生み出す左右の重心移動にもスーパーメテオ650はしっかりと反応。バイクを操っている感覚をしっかり感じることができる。“そんなのバイクだからあたり前”と思うだろうが、クルーザーモデルの多くはその感覚が希薄で、大排気量のメリットを活かして、ゆったりノンビリまっすぐ走るのみだ。

 

そう考えるとスーパーメテオ650は、クルーザーというカテゴリー枠に収まらないモデルなのかもしれない。REの開発陣は、試乗前の車両説明会やインタビューでスーパーメテオ650を“オーセンティック・クルーザー(典型的なクルーザー)”と称し、また同時に、バイクを操ることが楽しめるダイナミック・クルーザーであるとも話していた。オーセンティックでありながらダイナミック。インドでの2日間、約400㎞の試乗を終えると、一見相反するようなその開発陣のコメントを、よく理解することができた。

次ページ:ROYAL ENFIELD SUPER METEOR650 / TOURERのディテールを紹介!

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問い合わせ先
ピーシーアイ
URL
https://www.royalenfield.co.jp

※記事の内容はNo.251(2023年2月24日)発売当時のものになります

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