YAMAHA JOG125

YAMAHA JOG125(2023年モデル)走行イメージ

ヤマハ伝統のブランド“ジョグ”で、初となる125㏄モデル。リーズナブルな価格帯のモデルで装備こそシンプルだが、基本性能はしっかりと確保されている。“手軽さ”というスクーターの美点を再確認させてくれる、ベーシックな魅力に満ちた1台だ。

文:淺倉恵介/写真:関野 温

軽さが持ち味のお手ごろスクーター

YAMAHA JOG125のスタイリング

安い・軽い・乗りやすい手軽さこそ最大の魅力だ

YAMAHA JOG125(2023年モデル)

 

最初に断らせてもらう。このページは、ジョグ125というバイクが一体どんなキャラクターであるかを、読者のみなさんに紹介することを主旨としている。だが、一部の年齢層を除けば、頭に“?”マークが浮かんでしまう記述が多いかもしれない。

 

ここでいう“一部の年齢層”とは、アラフィフより上の世代。言葉を選ばなければ“オッサンとオバサン”だ。今回ばかりは許してほしい。だって、取り上げるバイクが“ジョグ”なのだ。アラフィフにとって、ジョグの名前は特別な存在だからである。

 

初代ジョグがこの世に登場したのは1983年のこと。軽量でハイパワーでスタイリッシュなジョグは、またたく間に原付シーンの主役に躍り出た。オッサンである筆者は、まさに直撃世代。ミニサーキットはジョグが席巻。潰した空き缶をガムテープでヒザにくくり付けた小僧が峠道にあふれた。

 

と、Zとかミレニアルな世代の人には意味不明な文章を羅列したが、オッサンのジョグへの熱い思いや、どれほどエポックなバイクであったかはわかってもらえたのではないだろうか? ジョグというネーミングは、カワサキならZ、ホンダならCB、スズキならGSに価するものなのだ(個人的には!)。

 

で、ジョグ125である。歴史の長いシリーズだから、さまざまな排気量や派生モデルが存在したのだが、125㏄エンジンを搭載するのは初。そんな新時代のジョグはどんなマシンかとジックリ観察してみると、結構驚かされる。まず、フロントブレーキがドラムだ。インストルメンツパネルは、アナログ式のスピードメーターと燃料計、数字ドラムが回転する昔懐かしいオドメーターのみ。スマートフォン接続どころか、LCD表示すらない。そして、灯火器類はバルブで固められる。LED?何それおいしいの?

 

はっきり言ってジョグ125の装備は、最先端ではない。正直に言ってしまおう。走り出す前は“あ〜、廉価版なのね”とか思ったのは事実だ。ところが、だ。いざ走ってみると“なんだこれイイじゃん! コイツはジョグの名に恥じないマシンだぜ!!”と手のひらを返してしまった。ゴメンナサイ!

 

まず、またがると735㎜の極低シートに感動。しかも車重は95㎏しかない。近年、ここまで取りまわしのいいスクーターはめずらしい。操安性や快適性を重視する人もいるだろうが、スクーターは手軽さこそ、本領だったことを思い出した。

 

かといって、走りがショッパイわけではない。最高出力は8.3㎰と、数字上は非力だ。けれど、実用域での加速は想像した以上に力強い。街乗りで不満を感じることはなかった。駆動系のセッティングが絶妙なのだろう。そのぶん高速域は伸びが鈍るが、そもそもイリーガルな速度域の話だ。“今どき、ドラム?”と思ったブレーキも十分以上の制動力。リヤブレーキにフロントブレーキが連動するのだが、このセッティングがすばらしい。左手ブレーキだけでも、十分走れてしまうレベルなのではないだろうか。

 

シート下収納が小さいとか、USB給電ソケットがオプションだとか、注文をつけたくなる部分もある。だが、考えてほしい。ジョグ125の価格は税込み25万5200円だ! これで十分。いや十分以上。バイクは高価になりすぎた。プレミアムな存在ではなく、手軽に入手できることには大きな価値がある。バイクがボクらの手に帰ってきた。そう感じさせてくれるジョグ125なのだ。最高です。

次ページ:YAMAHA JOG125のディテールを紹介!

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問い合わせ先
ヤマハ発動機カスタマーコミュニケーションセンター
電話番号
0120-090-819
URL
https://www.yamaha-motor.co.jp/mc/

※記事の内容はNo.251(2023年2月24日)発売当時のものになります

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