Kawasaki Z900RS

連載新車体感 ニューモデルインプレッション

No.
189
連載新車体感 ニューモデルインプレッション

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※公開中の誌面内容はNo.189(2017年12月22日)発売当時のものになります

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往年の名車、Z1をモチーフとした新型ネイキッドモデルが登場。水冷エンジンや高剛性フレーム、17インチホイールなど最新のパーツと、懐かしいスタイリングが融合。新世代の“Z”としての魅力と走りを体感してきた。

文:横田和彦/写真:武田大祐

現代に降臨したZ900RSは単なる懐古趣味ではなかった!

Z900RSのスタイリング

 

カワサキの往年の名車が現代の技術で堂々復活!

先日行なわれた東京モーターショーで、カワサキは驚くべきニューモデルを発表した。アンベールされライトの下に浮かび上がったZ900RSの姿は、その名に違わず70年代に一世を風靡した名車・Z1を彷彿させるものだったのだ。丸みを帯びたティアドロップタンクは通称・火の玉カラーと呼ばれるオレンジとダークブラウンのツートンで塗り分けられ、テールカウルのラインまでバッチリと決まっている。シルエットこそ懐かしさを感じるが、水冷エンジンや高剛性トレリスフレーム、倒立サスペンション、リンク式モノショック、前後17インチホイール、フルLEDの灯火類など、その内容は完全に現代のもの。逆に言えば最新技術を使いながら、よくここまでZ1に寄せてきたなと感心するほどのでき栄えだったのだ。

 

ディテールへのこだわりは徹底していて、ティアドロップタンクやテールカウルのフォルムはもちろん、サイドカバー、シート、2連メーターケース、丸型ヘッドライトや一見スポークホイールのようにも見えるワイドなキャストホイールまで、過去のモデルをオマージュしつつ現代風にアレンジ。そこに妥協は感じられず、細かい部分まで作り込まれた造形美に思わず見とれてしまった。

 

その圧倒的な存在感にワクワクしながらまたがる。シートはやや肉厚だが幅はこのクラスとしてはスリムな部類。足着き性に不安は感じない。ハンドルは高め。ステップ位置もやや高いため、背筋が伸びヒザの曲がりが大きいという往年のカワサキ車らしいポジションだ。ベテラン勢にしてみれば懐かしささえ感じるところなのだが、若いユーザーにとっては新鮮に感じる部分かもしれない。

 

水冷ながら空冷フィンを模した造形がなされるなど、ルックスにもこだわっている水冷直列4気筒エンジンを始動させる。短めの、これもレトロ感たっぷりのメガホンサイレンサーを備えたメッキの集合マフラーから、重量車らしい野太いサウンドが響く。軽くアクセルをあおると操作に対してタコメーターの針が素直に反応し上下する。トルク感があふれる重低音にしばし酔いしれてしまった。

 

アシスト&スリッパークラッチにより軽い操作感を実現したクラッチレバーを握りギヤを入れる。ゆっくりクラッチをつないでいくと、アクセルをほとんど開けなくても図太いトルクが車体をスルスルと、なめらかに押し出していく。そのまま回転を上げていってもスムーズさと太いトルク感は変わらない。実に扱いやすいキャラクターのエンジンだ。まさに“意のまま”に操れる。エンジニアがていねいに磨き上げたことがわかるフィーリングだ。

 

エンジンパワーを支える車体も実にいい感じだ。高剛性フレームやスイングアームに倒立フロントフォーク、幅広のハイグリップタイヤなどを組み合わせると乗り味が「カチッ」となりがち。スーパースポーツなら問題ないが、ネイキッドだと固さを感じてしまうこともある。とくにビッグネイキッドはゆったりとした乗り味が魅力でもあるので、動きが敏感すぎることがマイナス評価になることもあるのだ。ところがZ900RSは違った。非常にしなやかで堂々としたビッグバイクらしい動きをする。適度にスポーティなハンドリングを持っていて、走り始めた瞬間からライダーに「デカいカワサキ車を操っているぜ」という満足感を味わわせてくれるのだ。

 

さらにペースを上げていくが、最新のシステムで構成された車体まわりは音を上げるようすはなく、不自然な挙動も起きない。ワインディングロードを駆け抜ける程度の速度なら不安は一切感じないということだ。万一滑りやすい路面に遭遇してしまっても、高度なトラクションコントロールシステムがサポートしてくれる。この安心感の高さも現代のバイクならではだ。

 

 

もっと驚いたのはサーキットを走ったときのことだ。パワフルに吹け上がるエンジンにまかせて速度を上げ、公道では体験しにくい速度域に入っても不自然な挙動は発生せず、コーナー手前で強力なブレーキで減速してから一気にフルバンクまで持っていくのも容易。そこでの安定性も高く、アクセルを開けながら太いトルクを使って豪快に立ち上がっていくフィーリングは病みつきになりそうなもの。最新スポーツモデルと一緒に走っても引けを取らないポテンシャルを持っていると言っても過言ではないだろう。ストリートでの乗りやすさと限界性能の高さを両立させていることを実感した。

 

このバイクはスゴイ。試乗を終えると素直にそう思った。カワサキはZ900RSを市販するにあたり「新時代のZ」の名に恥じないよう、各部の仕上げからエンジンフィーリング、足回りのセッティングまで徹底的に煮詰めたのだろう。過去のバイクを模したレトロ系ネイキッドは、中途半端な仕上りだとかえってユーザーの反発を買ってしまう。それが名車であればあるほど反感を買うリスクも跳ね上がる。それをカワサキは十分に承知したうえでZ900RSの名を復活させたのだ。このバイクに賭けるカワサキの覚悟と本気度が半端ではないことは容易に想像できる。

 

この新型Z900RSが、新たなカワサキの重量車ファンを獲得することは間違いない。それはZの歴史の厚みがさらに増すことを意味する。バイク史に名を残す名車の誕生に立ち会えたこと、そしてオーナーになることができる喜びを歓迎したい。

 

次ページでZ900RSのディティールを紹介!

※記事の内容はNo.189(2017年12月22日)発売当時のものになります

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