
素材ごとに適した磨き方をマスターして愛車の輝きを取り戻そう
買ったばかりのころはピカピカだった愛車も、年数の経過とともに少しずつ色あせ、キズ付いていく…。バイクは装飾品ではないのだから、これはある意味しかたのないことだ。だからといって愛車が劣化していく姿を黙って見ているなんて耐えられない!
そこで役立つのが、バイクパーツに対応した専用ケミカルを使った“磨き”だ。パーツごとに適したケミカルを使って愛車をケアしてやれば、劣化したパーツたちを限りなく100に近付けることも可能なのだ。ここではそんな愛車を美しくするワザを、パーツや素材別に紹介していくぞ。
表面をキレイにするには“磨き”が有効!
そもそも塗装面の白いくすみは、スクラッチと呼ばれる微細なキズに光があたって反射することで光の間隔が生じ、白くくすんだように見える現象。みがくということは、このキズからの反射をいかに整えるかがポイントとなる。
実際の工程は「キズの角をコンパウンドとよばれる微細な研磨剤で丸くする」「キズの奥にたまる汚れを取り去り、代わりにレジン(樹脂)を充填する」の2つ。これによりキズからの光の反射が整えられ塗装面の輝きが復活するのだ。
磨き始める前に下準備を忘れずに
下準備1:研磨の前に汚れや砂ボコリを落としておく
表面に異物が付着している状態で研磨を行なえば、異物を表面にこすりつけることになり、キズをより増やすという悲惨な結果を招いてしまう。作業前には洗車を行なっておくのが安心だ。少なくとも水を多めに使ってウエスで拭き上げるくらいのことは最低限必要だ。
下準備2:障害物になるパーツは外しておこう
せまい箇所に無理矢理手を突っ込んで磨いてもなかなかキレイにはならないモノ。中途半端に磨き上げたせいで、磨いていない部分との境目がクッキリ。かえって目立ってしまった…なんてことにならないように、シートカウルなどのパーツは横着せずに外しておこう。
「塗装面」を磨く
今回の車両は、タンクにスチール、サイドカウルやテールカウルには樹脂が使われており、どちらも表面には塗装処理がされている。浅いキズなら塗装面専用コンパウンドなどのケミカルを使うことで目立たなくしたり、完全にわからないレベルまでならすことができる。
使用ケミカルはコレ
AUTO GLYM スーパー・レジン・ポリッシュ (325㎖)
さまざまなタイプの塗装面に適したコーティング剤入りワックス。塗装面の輝き・形成被膜によるすぐれた保護効果が特徴だ。東京モーターショーなどの展示車両にも採用されている。
- 価格
- オープン価格
- 問い合わせ
- プレミアム・カーケア・ジャパン
- TEL
- 0466-89-0373
製品詳細ページ
1. 塗装面に直接塗布するかウエスに少量とる
あずき粒くらいの大きさに3滴ほど塗布するだけで1タンクまるまる施工することができた
2. キズ消しを目的とするならば、強い力で塗り込むように伸ばしていく
目安となる力加減は掌圧5キロが適性で、こすっている最中にバイクがグラグラと動くくらいの力
3. 均一に塗り伸ばせたらウエスのキレイな面を使って拭き上げれば完成
念入りに磨き込めばそれなりに時間がかかるけれど、今回のタンクは1分間ほどの作業で小キズが消え、表面に輝きが戻った
作業のビフォー・アフター
照明の下で結果をわかりやすくしているけれど、逆にいえばこれだけガッツリ光を当ててもこの程度しかキズが見えないというレベル。
タンクがキレイになるだけでバイク全体の印象もずいぶん変わるぞ!!
樹脂パーツの場合は
先ほどはタンクのキズでの検証、今度はフロントフェンダーにできた深いひっかきキズでも検証してみた。
樹脂パーツにできた深いひっかきキズ。60km/hで転倒したときのキズだけに、その深さはかなりのモノ
作業のビフォー・アフター
さすがに完全にわからなくすることはできなかったけれど、作業の結果、明らかにキズが浅くなり、溝に堆積していた汚れも取れてすっかりキレイになった
「クリアパーツ」を磨く
メーターやライト類に使われている透明・半透明の樹脂パーツたち。これらのパーツをキレイにすることは視認性アップにもつながる。ただし、種類によってはクリアに対応していない特性のモノもあるので、ケミカル選びは慎重に行なおう。今回のテストではもっとも面積が大きいスクリーンを使用。
使用ケミカルはコレ
ZERO GRAVITY プラスチッククリーナー&ポリッシュ (230g)
社外スクリーンブランド・ゼログラビティ製の専用ケミカルで、表面の汚れ落としに加え、小さなキズを消す特性を備えている。ヘルメットのシールドにも使用できるぞ。
- 価格
- 1,620円(税8%込)
- 問い合わせ
- アクティブ
- TEL
- 0561-72-7011
製品詳細ページ
1. まずはスクリーン本体に吹き付ける
このケミカルはサラサラの液体で伸びがいい。ひと吹きで全面に塗り伸ばすことができた
2. 乾く前に塗り込む
研磨剤を含んでいないので表面を削る心配はないけれど、ここはデリケートな部分なのでやさしく拭き上げていく。ポイントは表面が乾く前に塗り込むこと。裏面も忘れずに塗っておこう
3. ウエスのキレイな面を使って磨く
このときウエスに異物が付いていると新たなキズになるので、心配なら新品を用意してもいい
作業のビフォー・アフター
もともとの状態がキズだらけで「これがホントにキレイになるのか?」とシートのテストのときとは逆の心配をされていたのがスクリーン。さすがに深いキズは残ってしまったけれど、透明パーツだけに仕上がりの差が明確に表れた
「無塗装の樹脂パーツ」を磨く
表面に塗装がされておらず、表面は微細な凸凹が付いた梨地(なしじ)と呼ばれる処理がほどこされている。劣化すると白ぼけてきてツヤのない灰色になってしまう。代表的なパーツはリヤフェンダーやエアクリーナーボックスなど。
使用ケミカルはコレ
YAMALUBE プラスチック光沢復活剤 (180㎖)
白化した樹脂パーツに塗布することでツヤと光沢をを与え、黒さを復活させることを目的としたケミカル。二輪用ケミカルを多数展開しているヤマルーブ製だ
- 価格
- 1,512円(税8%込)
- 問い合わせ
- ワイズギア
- TEL
- 0570-050814
製品詳細ページ
1. 塗布または吹き付ける
塗布する際は、ウエスに適量を吹き付けてから塗り込んでもいい。今回は直接吹き付けてみたけど、これだけで黒くなっているような…
2. 乾燥するまで待つ
乾いてからムラがある場合は、キレイなウエスで拭き上げる。力はほとんどいらないし作業時間もごくわずかだ
作業のビフォー・アフター
こちらもツヤが段違い。新車カタログと同じカッコいいツヤツヤブラックの状態に
樹脂パーツの劣化はひどくなるとヒビ割れを起こすこともあるけれど、この仕上がりを見ればそんな心配は無用に思えてくる
「シート」を磨く
金属や樹脂といった硬いパーツだけではなく、シートも美しく仕上げることができる。ただし専用のケミカルを使わないと、見た目はキレイになっても走行時にすべりやすくなることがあるので、バイク専用品を選びたい。
使用ケミカルはコレ
WILLSON RIDERS CLUB
バイク専用 シートのツヤ出し (150㎖)

その名のとおり表面にツヤを与えるほか、施工後も特殊樹脂がシートを保護して変色や劣化を防ぐという。スリップ防止成分を配合して安心感を高めている。
- 価格
- 1,213円(税8%込)
- 問い合わせ
- 岡田商事
- TEL
- 03-3459-8281
製品詳細ページ
1. 付属のスポンジに適量をとる

2. 薄く塗り伸ばして使用する
力を入れてこするのはNG。タンデムベルトの下も忘れずに塗っておこう
作業のビフォー・アフター
テスト車両のシートはもともと劣化が少なかったため「たいして違いは出ないだろう」と失礼ながら一番期待されていなかったパーツ。しかし施工後は明らかに黒いツヤが増してキレイになっていることがわかる
「高温パーツ」を磨く
エンジンやマフラーといった、走行時に高温になるパーツたち、とくにマフラーは素材によってサビが発生しやすいのでワックスなどで保護しておきたい。ただし、ケミカルの中には高温部分に使用できないモノもある。使用前にケミカルの耐熱温度を確認しておこう。
使用ケミカルはコレ
PITGEAR 耐熱ワックスL PG-246 (300㎖)
バイクのエンジン専用ツヤ出し保護剤。塗布後は高分子 被膜が形成されてツヤ持続し、その後に付着したドロ汚れなどの洗浄も容易なる特性を持つ。-30〜250°Cという幅広い温度に対応。
- 価格
- 2,160円(税8%込)
- 問い合わせ
- タナックス
- TEL
- 04-7150-2450
製品詳細ページ
1. マフラーが冷えていることを確認し、均一にスプレーする
スチールサイレンサーを採用するモデルは、このようにツヤ消しブラックの耐熱塗装がほどこされていることが多い。白化が進み文字通りツヤが消された色味になっている
2. ウエスで塗り伸ばす
今回は省略しているけれど、サイレンサーを外して単体で作業するともっとキレイに仕上げられる
作業のビフォー・アフター
21年モノのサイレンサーだけど右側だけ10年くらい若返った印象
今回使用したケミカルは表面を保護する特性もあるそうなので、購入時からマメにケアしておけば劣化も抑えられるだろう
「無塗装アルミパーツ」を磨く
軽くて加工性がいいことからバイクパーツとの相性がよく、多くのモデルに採用されている素材だ。”磨くといえばアルミ”と思っている人も多いけれど、表面を保護するためにクリア塗装やアルマイト処理がされている場合はひと筋縄ではいかないこともある。
使用ケミカルはコレ
Mothers マグ&アルミポリッシュ 小 (141g)
アルミのほか、スチールやステンレス、真鍮などに使用できる 金属磨き用ケミカル。細めのコンパウンドを採用しており、作業にはやや時間がかかるものの仕上がりの美しさが魅力。
- 価格
- オープン価格
- 問い合わせ
- ヤザワ
- TEL
- 03-5763-0281
製品詳細ページ
1. 適量をキレイなウエスにとって表面を磨き込むだけの簡単作業
ゼファー750はアルミパーツを多数使用しているけれど、無塗装の部分は意外と少ない。今回はチェンジペダルでテスト。消しゴムを強めにかけているくらいの力加減でOK
2. 根気よく磨いていく
白かったコンパウンドが黒くなるけれど、これはアルミの表面が削れたときに生じる金属粉。くすんだ表面が磨かれている証拠だ
作業のビフォー・アフター
1分も磨いていない状態だというのに、表面のくすみが取れて色も完全にホワイトからシルバーに。さらに時間をかけて念入りに磨けばもっと輝かせることもできそうだ
クリア塗装がされているパーツは慎重に
エンジンパーツなど、表面にクリア塗装がほどこされているパーツは、金属用コンパウンドで磨いて光沢を出すことはできない。ペーパーでクリア塗装を落としてやればアルミ地を直接磨くことも可能だけれど、その分光沢を維持できる期間も短くなるし、作業難易度は高くなる。極端に劣化していなければ無理に磨き込む必要はないだろう
「塗装面のキズの処理」を磨く
転倒や硬い対象物がこすれることによって車体についてしまったキズ。塗装面の場合は下地が見える深さまで達してしまったモノを直すことは困難だけど、下地までまだ達していない場合は補修用ケミカルを使うことでキズを目立たなくできる場合がある。
使用ケミカルはコレ
QUIXX 塗装面用キズリペアシステム
キズ周辺の塗装を移動・同化させて平らに変形させる“塑性(そせい)変形”という特性を利用している。表面を削って均一化させるコンパウンドと大きく異なる補修方法だといえる。
- 価格
- 2,860円(税8%込)
- 問い合わせ
- スマートビジョン
- TEL
- 03-3221-0320
製品詳細ページ
1. キズに合わせて1液を塗布する
2種類のチューブが同梱されているので、まず1液を塗布したら、専用クロスでその周辺をキズの垂直方向に最大1分間磨き、濡れたウエスで拭き取る。キズがなくなるまでこの作業を2〜3回繰り返す。
2. キズがなくなってきたら、2液を塗布する
2液はツヤ出し効果を持っている。塗布したら、円を描くように磨いて光沢を出す
作業のビフォー・アフター
爪でなぞると明らかに引っかかりを感じる深めのキズだったけれど、1の作業をたった1回行なうだけでキズが完全に見えなくなってしまった
番外編:万能型の洗浄・ツヤ出し剤で磨く
それぞれのパーツ用に開発された専用品のスゴさはわかったけど、用途ごとにそろえるのが大変…、という人には万能型のケミカルがオススメだ。一部使用できないパーツもあるけれど1本持っておくだけでさまざまな用途に活用できるぞ。
使用ケミカルはコレ
Smart Vision Vuplex Lサイズ (445㎖)
一本で汚れの洗浄から保護コーティングまでこなしてくれる便利なケミカル。塗装面・プラスチック・金属類・ガラスなど様々な素材に対応する。
- 価格
- オープン価格
- 問い合わせ
- スマートビジョン
- TEL
- 03-3221-0320
製品詳細ページ
さまざまなものに使える! 万能性が特徴
塗装面はもちろん、無塗装樹脂のツヤ出しや保護にも使用可能
メーター、スクリーンといったクリアパーツにも使える
ヘルメットシールドにも(※ミラーシールドはNG)
このほかサングラスやクルマのボディ、PCモニターまで使用可能。
高温パーツは保護効果こそなくなるものの洗浄効果は発揮。焼けやムラの心配もないそうだ。
使用できない場所:タイヤ・シート・ブレーキまわり
すべることで操作に支障が出たり危険がともなう場所には使用不可。逆に言うと、それ以外の部分ならほぼすべてのパイクパーツに使えるということだ