HONDA CBR400R (2022)

HONDA CBR400R(2022年モデル/8BL-NC56)走行

水冷4ストロークDOHC並列2気筒エンジンを搭載したホンダCBR400Rが新型に生まれ変わった。進化は足まわりが中心である。その違いから得られた走りの印象を詳しく伝えしよう。

文:濱矢文夫/写真:関野 温

走りのレベルが確実にアップしている

HONDA CBR400Rのスタイリング

HONDA CBR400Rのスタイリング

着実に進化しているがやりすぎていない感が○

その変化は“劇的”とまではいかないけれど、確実。フロントブレーキを握って減速しながらのターンインの動きが素直で、ちゃんとフロントタイヤを路面に押し付けているのを感じられ、安心感が高まった。バイクが傾いていってからの回頭性もいい。

 

以前のCBR400Rも決して悪いバイクではなかった。しかし、スピードを上げて高いアベレージで走ると、前後のサスペンションに落ち着かないところが顔を出した。CBR400Rはライダー入門者も購入候補に入れる機種だから、誰でも簡単に乗れる、そこそこのレベルまでは実に乗りやすいまとまり。それを間違いではないと納得はしていた。

 

ただ、普通二輪免許で乗れる400㏄以下をひとくくりにすると、250㏄クラスには同社のCBR250RRや、カワサキのニンジャZX‐25Rといった高性能モデルがあり、400㏄クラスにはKTMの390デュークとRC390、BMWのG310Rといった外国メーカー単気筒勢も視野に入ってくる。それらのモデルと比べると、扱いやすさはあるが、戦闘力という面では一歩引く感じだった。その中で商品力をアップするため、走行性能を高めていく変更にシフトするのは、実にまっとうな考えだと思う。

 

コストの問題もあるだろうが、いたずらにレベルアップさせていないところにとても好感を持てた。ロゴを変更して2020年7月終わりに発売したモデルより3万3000円の値上げにとどまっている。この価格差で、この走りの違いが手に入るのならばお買い得だ。欧州を中心に排気量違いのCBR500Rを好む層がいて、その市場に合わせたという事情があるのを理解しながらも、やりすぎていないことは、価格のみならず、幅広いレベルのライダーが戸惑わないとっつきやすさとして評価したい。

 

HONDA CBR400R(2022年モデル/8BL-NC56)走行

 

大は小を兼ねるわけでないが、意識せずに走り出しただけでも、自然とその違いが気持ちよさと安定感において効果が出ていて、思わず“いいバイクだな”と独り言が出てしまう仕上がりだ。フロントブレーキがシングルからダブルディスクになり、ラジアルマウントキャリパーになったから、バチンっと効く強い制動力を想像していたが、実際はそこまでではない。効きがよくなりつつ、コントロールしやすくなっているのがうれしい。これには新たにSHOWA製のSSF‐BPフロントフォークを採用し、その動きと剛性がアップしていることも味方をしている。スイングアームの剛性を最適化して、変わっていないようで実は新デザインのホイールも合わせて以前より軽くなった。いい足になりながら、バネ下の重量を軽減したのだから、何のネガティブな要素があろうか。先に述べたように違いは決してプラシーボじゃない。乗って明白。タイヤの接地感をしっかり把握できながら旋回性が向上し、曲がるのが楽しい。路面のギャップや段差などを通過したときのいなし方もいい。グリップの変化が大きく、路面が荒れた狭い山道でも危なげなくコントロール下にいてくれた。

 

どこかが突出して変わったというより、全体が底上げされたという表現がしっくりくる。スーパースポーツといいたくなるモノではない。されど水冷パラレルツインエンジンの、低中回転域の扱いやすいフラットトルクと、高回転域で伸びのある特性も相まって、いろいろな使い方や走る場所でライダーの負担が小さく、きっちりスポーツとして磨きがかかった。“新型CBR400Rは満足度が高い”と思った。

次ページ:HONDA CBR400Rのディテールと足つきをチェック!

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Hondaお客様相談センター
電話番号
0120-086819
URL
https://www.honda.co.jp/motor/

※記事の内容はNo.241(2022年4月22日)発売当時のものになります

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