HONDA 400X (2022)

HONDA 400X(2022年モデル/8BL-NC56)ダート走行

2013年に他の400㏄パラレルツインシリーズたちと車体を完全共用して登場した、中型アドベンチャーの400X。2019年にフロントホイールを17→19インチ化することで独自進化を開始。そして今回、ついに倒立フロントフォークを手に入れた!

文:谷田貝洋暁/写真:関野 温

足まわり強化で峠もダート走行も気軽に!

HONDA 400Xのスタイリング

フロントの安心感が格段に増した新400X

ホンダの400㏄パラレルツインシリーズの中でも、400Xはちょっと特殊な存在だ。というのも、登場時の2013年には兄弟モデルであるCBR400R(P112で紹介)、CB400F(現在は廃番)とまったく同じ車体を採用していたが、2019年にシリーズから差別化する形でフロントホイールを19インチ化し、エンジン特性もより中低速を重視するセッティングとなった。キャラそのものも、純然たるオンロードモデルという扱いから逸脱。フラットダートレベルのオフロードなら想定内のアドベンチャーツアラーへと進化したのだ。

 

そして迎えた今回の2022年のモデルチェンジ。最大のニュースは、それまでの正立フォークから、ショウワ製倒立フォークであるSFF-BPφ41㎜を手に入れたことである。

 

HONDA 400X(2022年モデル/8BL-NC56)オンロード走行

 

早速乗ってみると、オンロードセクションではブレーキング時の安心感がかなりアップしている印象を受けた。今回のモデルチェンジでは、フロントブレーキがダブルディスク化されたことでブレーキの効力がアップ。そんなストッピングパワーの向上に負けないようにフロントフォークも倒立化したという図式だ。重量に関しては、ダブルディスク化などで3㎏ほど重くなってはいるが、ホイールやスイングアームといったバネ下重量はキロ単位で軽量化。スイングアームに関しては、なんと倒立フォークの採用に合わせて旋回性能を最適化するため、剛性バランスも見直したとか。

 

思ったよりずいぶん大がかりなテコ入れである。感心させられたのは倒立化&ダブルディスク化なんてスポーツ性アップ方向へ進化しているにも関わらず、400Xには長丁場でも疲れず走り続けられる“旅感”がきちんと残されていたことだ。峠道でもオンロードスポーツモデルのように目を吊り上げて走る必要がなく、車体を右へ左へゆったりと寝かせてクルージングするレベルの走りで十分楽しいと感じる。

 

今回の足まわり大改修で大きな変化を感じたのは、林道セクションを走ったときだ。400Xは前回のモデルチェンジで19インチ化されたことで“オフロードを走れるモデル”へと進化したとはいえ、大きくなったタイヤのおかげで路面のギャップでフロントタイヤが左右へ弾かれることも増えた。そんな場面で感じた“ちょっと心許ない操舵感”が、今回のフロントフォーク倒立化で見事に消えており、よりダイレクトに抑え込めた。これは間違いなく倒立化によるフロントフォークの剛性アップの恩恵だ。当然ブレーキもより強い入力がしやすくなっているのだ。

 

そもそも400Xは、ダートをガンガン攻めるようなキャラクターではないが、今回のモデルチェンジでより気軽にダートへと入り込めるようになった印象だ。また今回の試乗ではテストできなかったが、キャンプツーリングなど荷物を積んで走るような状況でも、旧型よりも新型の方が、より安心して走れるようになっていることは安易に予想できる。

次ページ:HONDA 400Xのディテールと足つきをチェック!

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電話番号
0120-086819
URL
https://www.honda.co.jp/motor/

※記事の内容はNo.241(2022年4月22日)発売当時のものになります

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