今年の2月に正式発表となった新型の400ccクラス4気筒エンジンを採用するニンジャZX-4Rがついに発売となった。試乗する機会を得たので、そのパフォーマンスについてここでは触れよう
文:岩崎 雅考/写真:吉田 朋
走行中の高い安定感はレースからフィードバック
KAWASAKI Ninja ZX-4R SEのスタイリング
コンパクトな車体からにじみ出るスポーツ性能
以前400ccクラスの車両といえば、600ccクラスと共通のシャーシを使うことが多かったけれど、最近は250ccクラスと同じシャーシを使うことが増えている。そのため以前に比べると、400ccクラスの車体サイズがかなりコンパクトになった印象を受ける。ZX‐4Rも先に発売されている250cc4気筒モデルのZX‐25Rとほぼ同じサイズで、間近で見たときの印象は“これで400ccもあるのか?”というものだった。
またがってエンジンを始動した瞬間に、その疑念は吹き飛ぶ。明らかにZX‐25Rより力強いアイドリング時の排気音が聞こえてきたからだ。そして久しぶりの4気筒サウンドに、“そう、コレ!この4気筒ならではの音!!”と、心が高揚感に支配されてしまった。そして軽く吹かしてみれば、その排気音やメカノイズから、スポーツバイクとしての高いパフォーマンスに期待がふくらむ。
ただ走り出しは少しばかり慎重になる。というのもスロットル開け始めたところのトルクが薄い感じなのだ。とはいえ普通にそのままスロットルを回していけば、エンストすることなくエンジンの回転数は上がっていくしトルク感も増してくるので、そのフィーリングに慣れてしまえばとくにナーバスになることもない。そして、アクセルを少しひねったその先がたまらない。4気筒らしい回転数の跳ね上がりと、それにともなう速度の上昇。そして4気筒らしい高音の排気音。それらが乗り手の気持ちを一気に高めてくれるのだ。
ただし、エンジン回転数の駆け上がり方はモードによって異なり、ローパワーモードだと激しい印象はまったくない。逆にフルパワーモードだとエンジンは非常にパワフルで、120km/hに達した時点で“ポテンシャルの5割出ているのか?”と思うほど余裕がある。サーキットで走らせてないので、その潜在能力はわからなかったけれど、公道で楽しむのであれば、十二分の戦闘力を有していることは間違いない。フィーリングからは650ccクラスのスポーツモデルと走っても遜色なくで楽しむことができると感じた。
そして何よりこのモデルの魅力はコーナリングだ。まるで地面に吸い付いてるかのような感覚でコーナーを抜けていける。さらにコーナーを曲がっている最中に、どんなタイミングからでも思ったような動きが加えられるのだ。その間、路面の状態が全身に伝わってくるので不安になることもない。
思うにフレームとサスペンションが絶妙な組み合わせとなって機能しているのであろう。硬すぎる感もなければ、柔らかくてグニャグニャするような感覚もないのだ。車速をコントロールするブレーキも、フロント・リヤともに効き具合がわかりやすく、途中から効力が急激に変化することもないし、絶対的なストッピングパワーも十分にある。まさにトータルで見て申し分のないスポーツバイクなのだ。
KAWASAKI Ninja ZX-4R SEのディテール
POSITION & FOOTHOLD
1000&600㏄クラスのスーパースポーツモデルに比べると少し穏やかなポジションになるけれど、車体上で体を動かしやすいホームになる。足つきも思った以上によく、両足をおろしてカカトまでベッタリ接地した
スペック
- 全長×全幅×全高
- 1,990×765×1,110(㎜)
- 軸間距離
- 1,380㎜
- シート高
- 800㎜
- 乾燥重量
- 190㎏
- エンジン型式・排気量
- 水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒・399㎤
- 最高出力
- 57kW(77㎰)/14,500rpm
- 最大トルク
- 39N・m(4.0kgf・m)/13,000rpm
- 燃料タンク容量
- 15L
- 燃費(WMTC)
- 20.4㎞/L
- タイヤサイズ
- F=120/70-17・R=160/60-17
- 価格
- 112万2,000円
CONTACT
- 問い合わせ先
- カワサキモータース ジャパンお客様相談室
- 電話番号
- 0120-400819
- URL
- https://www.kawasaki-motors.com/mc/
※記事の内容はNo.257(2023年8月24日)発売当時のものになります
このインプレッションはNo.257に掲載されていました