プロフェッショナルの流儀に触れて

先日の金曜日、たまたま深夜にやっていたNHKの人気番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」を見た。その日は料理家の栗原はるみさんがメインの回だったのだが、特に料理に熱心なわけでもないボクが、なぜかついつい最後まで番組を見てしまった。

そもそもボクは今まで栗原さんの著書やレシピなどを、いっさい見たことがない。かろうじて名前を知っていただけである。また最近になっていくつか料理本などを買ってはみたりしたものの、それほど料理が好きというわけでもない。が、この手の番組はやはり扱う人によって、伝わってくる熱が全然違う。妙に浮わついたモデルなんかの密着もそれはそれで面白いのだが、仕事に真摯に向き合っている人のドキュメンタリーには、なにか熱く訴えかけてくるものがあり、少なくとも彼女の言動からはそれがヒシヒシと伝わってきたのである。

とはいいつつも、栗原さん自体はものすごく自然体で、無理をしている感じが一切しない。こういった表現がはたして適切なのかどうかわらないが、変な商売っ気を感じることがなく、ただひたすらによいレシピを作るために料理と向き合っている。言うなれば職人気質だ。これは、昔からそうだったわけではなく、過去にただひたすらレシピを量産していたころの反動のようだが、「料理って楽しいよね。普通の暮らしが一番よね」っていうシンプルな彼女なりの回答を自然体で表現している、そんなイメージであった。

それと地味に驚いたのが年齢である。番組の途中で栗原さんの年齢が、自分の母親とほぼ同じぐらいだと分かったのだが、見た目はもちろん若々しいものの、そんな年齢でも第一線で活躍し、ひたむきにレシピを作り上げる姿は、まさに番組のタイトルである「プロフェッショナル」だなと感じた次第である。

番組中では、彼女が企画している雑誌に掲載するレシピのためにタルトタタン(リンゴのケーキ)を作っていたのだが、とにかく「誰でも手軽に作れるレシピ」という部分へのこだわりが半端なく、これでもかというぐらい試作を繰り返しては、おいしいだけではない、簡単に作れるレシピというものに注力していた。中でもレシピの文章にはすごく気を配っていて、料理の命ともいえる火加減の表現に苦心していた姿が印象的だった。栗原さん自身は、「決して自分をプロフェッショナルだとは思っていない」と謙遜していたが、やはりひた向きさをはぐくむものは、「好き」という感情ではないかと改めて思うわけである。つまりは「好きこそものの上手なれ」なのだ。

夜1時5分〜53分という深い時間帯ながら、眠気も忘れて見入ってしまい、心地よい疲労感とともに眠りについた。おかげで次の日は若干の寝不足気味になったのだが、心なしか気分は晴れやかである。いやぁ、世の中すごい人がたくさんいますな。

C.ARAi

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C.ARAi

Web制作班所属。何事にもしっかりしていたい気持ちはあるものの、やってることはかなり中途半端。基本的に運命にはあまり逆らわず生きていくタイプで、いきあたりばったりが自分にはよく合っていると思っている。悪く言えば計画能力ゼロ。モットーは「来るもの拒まず、去るもの追わず」。

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