何ごともチャレンジなのだ

いゃぁ久々に感動した。何がって? ローメンである。ローメンとは長野県は伊那地方のB級グルメ。アシの早いラーメンの麺をなんとか日保ちさせて内陸部の伊那でも食べようと開発されたらしく、通常の茹でた麺ではなく、蒸した麺を使う皿うどん的な食べ物だ。昭文社のツーリングマップルにも載っていたりするから食べたことがあるツーリングライダーも多いと思う。僕も以前、なにかの取材で通りかかったおり、「せっかくだから…」と、食べてみようと思ったことがあった。事前のリサーチもなにもしていなかったので、ここは地元の人に聞いてみるべと「スイマセ〜ン! このあたりでローメンのおいしいお店を知りませんか?」と片っ端から声をかけた。この手段は地方取材ではかなり有効で、地元ならではおいしい店の情報が得られるのだ。…だが、聞く人聞く人、なぜだか顔がくもる。しかも「ローメンの、おいしい店ですか? …老舗の店なら知ってますが…」なんてどうにも歯切れが悪い答も返ってきたりする。

 

思えばこの時点で察するべきだった。すべてはこの地元の人の「できればウソはつきたくない」という明確な意志が現れた言葉に内包されていたのだ(笑)。まぁ、食とは往々にして個人的な好みだから、紹介された店の味はみなまで言うまい。ご想像にお任せします。

 

 

 

さてそれから数年がたった昨日。僕は久々に伊那地方を訪れた。しかもちょうどメシ時である。大いに迷ったね(笑)。もう一度ローメンを食べてみるか? 一緒にいたカメラマンは強固にこの郷土食を拒んだが、結局のところカメラマンが選んだ中華料理屋にもローメンが存在した(笑)。ローメンにするべきか、無難なラーメンあたりにするべきか? 大いに迷ったあげくローメンを頼んだ僕。となりに座ったカメラマンには、すでに数度ローメンに挑戦して敗北しており「本気か?」と信じられないといった顔でコチラを見ている。昼を抜いたために大いにお腹が減っていたが、大盛りにはせず“普通”にするという保険はかけておいたけどね…。ところがである。モノがきてみれば意外にイケル。蒸した麺のモソモソとした食感がローメンの独特の持ち味だが、それもなんだか今回はわりといい。ごま油とソースをダバダバかけて、好みで酢とニンニクを入れたりするのだが、この調合もまぁ成功した。

1、2度食べたくらいで「伊那のローメンはねぇ…」なんて、御託を並べていた自分が本当に恥ずかしい。ホンとすいません、ローメン侮ってました。それと同時に何ごとも、懲りずにチャレンジすることってやっぱり大切なんだな、と思った次第。「伊那のローメンは場所によってはおいしい店も…」と、僕はココロのメモを書き変えた。

やたぐわぁ

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やたぐわぁ

本名/谷田貝 洋暁。「なるようになるさ」と万事、右から左へと受け流し、悠々自適、お気楽な人生を願うも、世の中はそう甘くない。実際は来る者は拒めず、去る者は追えずの消極的野心家。何事にも楽しみを見いだせるのがウリ(長所なのか? コレ)だが、そのわりに慌てていることが多い。自分自身が怒ることに一番嫌悪感を感じ、人生の大半を笑って過ごすことに成功している、迷える本誌編集長の44歳。

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