HARLEY-DAVIDSON FAT BOB 114

連載新車体感 ニューモデルインプレッション

No.
187
連載新車体感 ニューモデルインプレッション

この企画に登場しました!

 

2018ニューソフテイルファミリーの主役といってもいい存在がこのファットボブ。エンジンはキュービックインチ表記で114in³(1,868cc)と107in³(1,745cc)の排気量違いの2モデルが存在し、日本でも2つの排気量から選ぶことができる。ちなみに今回試乗した4モデルのなかでは一番ロードスポーツ性能が高められている。

文:谷田貝洋暁/写真:ハーレーダビッドソンジャパン

「ハーレーだから曲がらない」
なんてもう絶対に言わせない!

スタイリング

 

新型ファットボブは恐ろしくよく曲がる

これ見よがしに取り付けられた倒立フロントフォーク、そしてダブルディスクのフロントブレーキ。今回試乗する4台のモデルのなかでもファットボブは見るからにスポーツ走行を意識していることがよくわかる。

 

試乗の前に受けた技術説明会によれば、今回のソフテイルフレーム刷新計画はなんと6年前の2011年からスタートしていたのだとか。クルーザーモデルの旗手として躍進してきたハーレーダビッドソンがこれまで以上に世界へと進出するためには、これが絶対条件とまで認識した重要事項だったというから相当な覚悟だ。

 

考えてみれば今春に発表されたストリートロッドも異常なほどにコーナリング性能やバンク角にこだわったモデルだった。その前に登場したストリート750もまた然り。ハーレーらしからぬ軽快なハンドリングとコーナリング性能へのこだわり。確かに何十年も前からコーナリング性能へこだわり、ロードレースでつちかってきたノウハウを持つ国内4メーカーのコーナリング性能にはまだおよばないものの、“ハーレーダビッドソン=直線をゆったり走るバイク”という構図から脱却しようとしているのは明らかだった。

 

そしてこの新型ファットボブの登場である。このモデルをワインディングで走らせていて、ハーレーダビッドソンが進もうとしている道筋が明確に見えてきた。…のはいいのだが、如何せん前をいく先導ライダーのペースが速い。速すぎる。いやもうなんというか我々日本人ライダーに目にものを見せてやるという勢いでコーナーへ突っ込んでいく…。前を行くクルマを強引にパスしてまで我々を引きちぎろうとする(笑)。

 

世界きってのバイクメーカー4社を擁する日本のライダーは目の敵にされるのは外車メーカーの国際試乗会においての常。とはいえ僕らも右も左もわからないスペインの地で迷子になるのはゴメンである。必死に追いすがるのだが、ついにセンターラインを割ってまでコーナーを突っ込み始めるじゃないか…。でもってインに張り付き過ぎてガードレールでミラーを割って笑っているのである。

 

いやぁ、ヨーロッパにまで連れてきてもらっているメーカーさんの関係者を捕まえて言うのもなんだが、狂気的としか言いようがない(笑)。でもね。僕らにだってサムライジャパンの意地がある。ちゃんと付いて行きましたとも。速度はともかく、意地でもセンターラインを割らないジャパニーズスタイルで、だ。

 

そんな無茶する先導ライダーの後ろでジャパニーズスタイルを貫くには、相手よりさらにマシンを寝かしこみ、いち早くアクセルを開けなければ到底追い付けない。当然車体には相当のストレスがかかるのだが、そんな走りをしてもファットボブは破綻しないことに驚く。コーナーの入口でフロントフォークを沈ませフロントタイヤのグリップ力を最大限に引き出しながらバンク。そこからアクセルを開けてやればおもしろいようにコーナーを駆け抜けられるようにできている。これがすこぶるおもしろい。

 

確かに車体のコーナリング性能に対してバンク角が足りず、ステップがどんどん短くなっていきはする。さらにペースが上がった後半戦では右はエキパイカバー、左はサイドスタンドまで削れだす始末。

 

だがそんな走りをしてもフレームはキチンと踏ん張るし、恐ろしくグリップがいいタイヤのおかげで、コーナー出口や入口で少々後輪がホッピングしたところでまったく不安がないのだ。

 

耐摩耗性はともかく、タイヤのグリップにまかせてとにかく強くグイグイ寝かせていける。ステップはおろか、サイドスタンドまで削れるコーナリング性能である。それでもエンジンが削れないのはさすが!

 

スポーツ性でとくに気に入ったのがブレーキである。ファットボブは他のモデルとは違いブレーキディスクがダブル。コイツのおかげでブレーキング合戦がかなり有利。セオリーどおりの走りもできれば、コーナー奥までブレーキングを引っぱって、リリースと同時に一気にマシンを寝かし込む鋭角コーナリングもキッチリこなす。バンク中のフロントブレーキコントロールだってお手のモノである。日本の公道でそんな走りをするつもりは毛頭ないが、ネジの外れた先導ライダーのおかげでファットボブのポテンシャルを存分に味わうとともに、そのコーナリング性能を深層心理まですり込まれてしまったというワケ。おかげでもうハーレーダビッドソンのマシンをつかまえて“曲がらない”なんて口が裂けても言えなくなってしまったじゃないか。

 

FAT BOB 114のディティール&足着き紹介

※記事の内容はNo.187(2017年10月24日)発売当時のものになります