いいワケがましい

どうも僕は、何ごとも観るより実践派だ。バイクにしてもなんにしても、人がやっているのを指をくわえて見ているよりは、自分でやりたいと思ってしまう。バイクレースにしたって観るよりは、ヘタクソでも自分で走りたいと思うタチなのだ。生業のバイクにしたってそんなもんだから、スポーツ番組ならなおさら。少年野球に所属し、サッカーも中学までは部活でやってたぐらいだから、我ながら少しぐらいスポーツ観戦に興味があってもいいもんだと思うのだが、どうも触手が伸びない。なんせ、プロ野球にしろ甲子園にしろ、試合を最初から最後までキッチリ見届けたことが、たぶんこれまで1度もない。…たぶんと書いたのはその記憶すら曖昧だからだ。

…ということで、のっけからのらりくらりと始めてみたが、何が言いたいのかというとサッカーだ。僕は昨日、ワールドカップの試合をリアルタイムで観なかった。もちろん2対1で逆転負けした結果ぐらいは知っているし、事後のニュースでダイジェストも観たが、リアルタイムでは観なかったのだ。もちろん試合があることを知らなかったワケじゃない。むしろ「今日あたりはみんなワールドカップで盛り上がっているから道路もすいてるんじゃないの?」ってな感じで出かけてしまったのだ。

まぁ、そんな目論みとは裏腹に僕の住む千葉県の道は思ったほどすいてはいなかったが、いつも込み合う飯屋が「今日はそんなに混んでないからすぐにご案内できると思いますよ」なんてぐらいでやや混みだったから、多少はその影響があったのかもしれない。

で、次の日。定食屋でテレビを観ていたら、ワールドカップ当日に僕と同じように試合を観ずに無関係なことをしている人たちに「あなたはなぜこの大事なときにワールドカップを観ないんですか?」なんていう街頭インタビューをやっていた。ワールドカップは観ないがワイドショーは観るのだ(笑)。街頭インタビューでは「とてもじゃないが冷静に観ていられないので…」「私が観ると負けてしまうのでゲンを担いであえて観ないんです」なんてコメントが飛び出す始末。もちろん「それどころじゃない!」というコメントもあったが、その相手の用事や仕事がいかに大切なのか、「世の中にはワールドカップよりも優先されるべき事もあるのだ」なんて大層なVTRまで作っている。

大した理由もなく、夏のような陽射しと父の日につられて出かけた僕の立場は…。うむむ。それほど非国民的な行為だったとは知らなんだ。すまんワールドカップ。「信じられない!」といった面持ちで僕を見つめる熱烈なサッカーファンの編集部員に、次の試合の日程を聞いたら金曜日の朝らしい。…この時点でダメな気もするが、観れたら観たいと思う。…でもスズキの新車発表会がある日で朝早いんだよな(笑)。

やたぐわぁ

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やたぐわぁ

本名/谷田貝 洋暁。「なるようになるさ」と万事、右から左へと受け流し、悠々自適、お気楽な人生を願うも、世の中はそう甘くない。実際は来る者は拒めず、去る者は追えずの消極的野心家。何事にも楽しみを見いだせるのがウリ(長所なのか? コレ)だが、そのわりに慌てていることが多い。自分自身が怒ることに一番嫌悪感を感じ、人生の大半を笑って過ごすことに成功している、迷える本誌編集長の44歳。

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