バイク用語辞典

『た行』から始まる用語

  • 電子制御サスペンション

    バイクの挙動や路面状況を車体の各部に配置したセンサーで感知し、自動的にダンパー特性を変更する仕組み。従来、フロントフォークリヤショックといったショックアブソーバは、スプリングのバネレートとプリロード、オイル流動による減衰力で制御されてきたが、このうち減衰力をセンサーと連動させて瞬時に特性を変更できるというもの。YZF-R1M やS1000RR などが同種の仕組みを採用。プリロードはマニュアルで設定可能なので従来同様のセッティングも可能だ。別途説明する走行モードと連動して自動制御されることが多い。

  • チャンバー

    主にバルブを持たない2ストロークのエキゾーストパイプ中央部に設けられた膨張室のこと。排気圧をコントロールすることでバルブの代わりをしたりしてエンジンの特性を変えている。

  • 定地走行燃費

    カタログなどに記載されている、メーカーが一定の条件下で出した燃費。最近は、より実際の走行状態に近い値が得られるWMTCモードで計算した燃費数値も併記されることがある。

  • トリップ(メーター)

    走行距離を表示するメーター。リセットできるので任意に走行距離を計測できる。

  • チューニング

    エンジン内部の研磨やキャブレターの調子を整え、性能の向上を図ること。または、自分好みの設定にすること。

  • デコンプ

    デコンプレッション=圧抜きの略。セルスターターではなくキックでエンジンを始動させる場合、ピストンが混合気(ガソリン)を圧縮するので、大きな力が必要となる。その際、排気バルブを開きシリンダー内の圧を抜く装置がデコンプである。レバーで操作する手動式のもの以外に、キックアームの動きと連動するオートデコンプがある。

  • 取りまわし

    駐輪時や狭いところを移動する際、エンジンを切った状態でバイクを押して歩くこと。それら押し歩き作業全般を“取りまわし”という。バイク雑誌などで“取りまわし性”と称してバイクを評価するポイントの一つにすることがあり、たとえば、軽くて細身の車両であれば「取りまわし性(あるいは単に“取りまわし”)がよい」などと表現する。

  • チューブタイヤ

    タイヤとホイールの間に空気が入ったチューブがあるタイヤのこと。現在の主流はチューブレスタイヤだが、オフ車や一部の車両などに採用されている。また、パンク時には一気に空気が抜けてしまうことが多い。

  • デッドエア

    衣服の内部に抱き込まれ、外部に流出しない空気のこと。自分の体温がデッドエアを暖めることで保温効果が得られる。

  • トルク

    クランク軸を中心に1m先に付けたおもりを何㎏まで動かせるかということ。実際には、エンジンの力強さを表す言葉として「厚みのあるトルクが…」とか「トルクフルなエンジン性能」などと表現される。また、ネジを締め付ける力にもトルクという言葉が使われ、ネジの太さや材質によって規定値が異なる。エンジンオーバーホールなどの重整備には締め付けトルクを測定することができるトルクレンチが必要不可欠。

  • チューブレスタイヤ

    タイヤとホイールの間に空気を入れるタイヤのこと。タイヤの内面に気密保持性の高いゴム層を持つので、パンク時の急激なエア抜けが少ない。現在、ロードモデルの多くはチューブレスタイヤを採用している。

  • デュアルパーパス

    dual purpose=2つの目的。つまり、オンロードとオフロード、どちらの走行も想定して作られたバイクのこと。

  • トレッド

    タイヤの路面と接する部分のこと。刻まれた溝のデザインをトレッドパターンという。

  • 鋳造(ちゅうぞう)

    一度溶かした金属を型に流し込んで成型すること。コストは低く抑えられるが、強度と重量は鍛造に劣る。

  • 電動ファン

    ラジエターを流れる冷却水は走行風によって冷やされるが、電動ファンはファンの駆動をモーターによって行なうことで冷却する。バイメタルというある一定の温度で反る金属板をスイッチに使い、温度が上がればファンが回り、下がると止まる。

  • トレール

    “trail”とは「踏みわけ道」、あるいは「道」そのものを意味する単語。“trail bike(トレールバイク)”となると「悪路用のバイク」を指し、険しい山道などにも分け入ることが可能なオフロードバイクのカテゴリーを示している。

  • チョーク

    キャブレター車のエンジンを始動しやすくするために一時的にガソリンの濃度を高める機構のこと。ガソリンが濃くなり、エンジンがかかりやすくなる。走行する際にはもとに戻しておくこと。フューエルインジェクション車やスクーターはオートチョーク機能が祖備わっている。

  • 電熱ウエア

    電気カーペットのように電気で発熱する素材が仕込まれた防寒ウエア。電力を車載バッテリーからとる直結タイプ、バイク以外の用途にも使えるモバイルバッテリータイプ、どちらも使える共用タイプがある。

  • ドレンボルト

    drain=排水する、bolt=ネジ。油類などの液体を排出するための栓。バイク用語としてはエンジンオイルラジエター液の排出ボルトをドレンボルトと表現されることが多い。

  • 直4(チョクヨン)

    シリンダーが4本あり、それらが一直線に並んでいる直列4気筒エンジンの略称。インライン4(フォー)ともいう。

  • 倒立(フォーク)

    通常はフロントフォークのアウターチューブが下になり、その中をインナーチューブが出たり入ったりしてショックを吸収するが、その上下が逆になったもの。剛性が高く、スーパースポーツモデルや一部のオフロードモデルに採用される。

  • チョッパー

    アメリカンのカスタムスタイルのひとつで、はるか前方に伸びる長いフロントフォークや高いハンドルバーなどが特徴。映画「イージーライダー」に登場するバイクが代表的な例。

  • トップケース

    車体後部のキャリアに設置するケースのこと。

  • 2スト・2ストローク・2サイクル

    吸気、圧縮、爆発、排気の4行程をピストンが1往復する間に行なうエンジン形式のこと。バルブやカムシャフトがないため軽量コンパクトなエンジンを設計できるが、排気ガスを浄化するのが難しいので近年はほとんど存在しなくなった。

  • トライアル

    段差や起伏のあるコース内で足を着かず、止まらずに走破できるかを競うレース。スリムで軽量な専用マシンを使用する。

  • ツアラー/高速ツアラー

    風防効果の高いカウルを装備したり、余裕のあるライディングポジションを持つなど、高速巡航時のライダーに対する負担を軽減する工夫をこらした長距離ツーリング向けモデルのこと。ホンダのGoldWingやカワサキのニンジャH2 SX SE+などが該当。

  • トラクション

    駆動力。タイヤが地面を蹴って車体を前に進ませようとする力。速く走るためにはつねに安定したトラクションが必要。

  • ツイン

    シリンダーが2つあるエンジン。Vツイン、Lツイン、パラ(レル)ツイン、ボクサー(対向)ツインなどがある。

  • トラクションコントロール(トラコン)

    前後輪の車速センサーが、アクセルの開け過ぎなどで起こる後輪の空転を感知すると、自動的にエンジンの出力を制御を行なって空転を抑え、スリップダウンなどによる転倒を防ぐ安全装置。

  • ツインサス・ツインショック

    リヤのショックユニットを車体左右に1本ずつ装備するリヤサスペンションの機構。オーソドックスなスタイリングなのでレトロやネイキッドモデルに多く採用されている。

  • トラスフレーム(トレリスフレーム)

    橋などにも見られる、部材で両端を三角形につないだ構造のフレームのこと。軽量ながら耐久性も高いといわれており、ニンジャH2などに採用されている。

  • ツーリング

    Touring。バイクで行なう旅行(Tour)のことで、バイクに乗ったら一度はやりたい。クルマでいうドライブや遠乗りに当たるが、距離や期間などによって、日帰りツーリング、ロングツーリングなどと呼ぶ。

  • トラッカー

    路面が土の周回路(トラック)でリヤタイヤをすべらせながら走るダートトラックレーサーのスタイルを模したジャンル。かつてのホンダのFTRやスズキのグラストラッカーなどがこれにあたる。

  • DIY

    Do It Yourself=自分でする、という意味。カスタムや修理を自分で行なうときに使う。「マフラーをDIYで取り付けた」など。

  • ドラッグ

    drag=引っぱる。ドラッグレースといえば、クルマ・バイクの加速競争のこと。停止状態から402.33m(1/4マイル)先のゴールまで、どちらが先にたどり着くかを2台で競い合う。よく試乗記事で「ドラッグ風の〜」とあるが、これは加速性能(の凄まじさ)や低く構えたポジションに対して用いられる表現。

  • チタン

    鉄よりはるかに軽く、アルミよりはるかに強いため、レーサーなどの軽量化のために使われる金属。加工・量産が難しく高価。