YAMAHA XT250X

カラー:パープリッシュホワイトソリッド1

素姓のよさが光るモタード

XT250Xのベースモデルは、セローだと言っても差し支えないだろう(車名はまったく異なっているけれど、搭載しているエンジンはセローと同型モデル)。現在、ヤマハからはWR250Xというハイパフォーマンスなモタードがリリースされており、WRと比べるとXT250Xは少々地味な地位に甘んじているところは否めない。しかし、セローゆずりの扱いやすい性格を受け継いでいるのがXT250Xの最大の魅力だ。
開発コンセプトは“市街地での軽快な走りを実現するスタイリッシュスポーツ”。足つき性のいいシート、幅広いトルクと伸びやかな特性のエンジン、専用セッティングのサスペンションと専用タイヤなどを装備し、軽快な走行フィーリングを実現している。そのコンセプトどおり、どちらかといえばレースマシンというよりシティコミューターとしての用途にピッタリの性格を持る1台だ。

DETAIL

軽量・スリムな車体に加えて、ハンドル角も左右51°まで切ることができる。最小回転半径も1.9mで、入り組んだ道や道幅の狭い路地でも小回りが有効。オフロードの車両の特徴を最大限に活かした取りまわしはシティランに活躍してくれる
メーターまわりはセローと共通で、ひと目で見やすいようにスピードメーターは液晶内でもとくに大きく表示される。他にも時計、トリップ/オドメーターも一度に確認でき、視認性は高い。一方で左にレイアウトされたインジケーター類はかなり控えめな印象

08年に行なわれたモデルチェンジでは車体色のホワイトに合わせて、バイオレットアルマイト処理がほどこされたオリジナリティの高いホイールに変更された。また、タイヤはXT250Xのための専用チューニングとなっている
オフロードモデルは軽量化を図って燃料タンクの容量を小さめにする傾向があるけど、セローと共通で比較的大きな9.6Lが確保されている。オリジナルのシュラウドはモタードらしいグラフィックを取り入れストリートらしさを演出している

始動性と環境性能に貢献するF.I.採用の空冷単気筒エンジンはセローやトリッカーと同系のもの。燃費のよさもさることながら、低中速域で力強く発揮されるトルクフィーリングのおかげもあって、ビギナーにも扱いやすい出力特性となっている
テール部分には軽量でLEDライトを18灯採用し、日中での被視認性も高い。水平基調のボディラインの強調とコンパクトなテールデザインはスポーティさと相まって、XT250Xならではの個性的なリアビューを形成している

RIDING POSITION & FOOT HOLD

●ライダー:身長178cm/体重78kg
シートが後部にかけて跳ね上がっているが、またがるのは非常にラク。ステップの位置がやや近いため、ライディングポジションを構えるとヒザが少しきゅう屈。長時間同じ体勢のまま走るのはキツイけど上体の自由度は高いので無理には感じない


両足ともべったりカカトまで着くうえに、ヒザにもまだ余裕がある。足を下ろす位置にステップがあったので、足を前後に少しずらしても足つきには影響はなかった。車体が軽くバランスも取りやすい


●ライダー:身長178cm/体重78kg
シートが低く両足で支えられるので、タンデマーが乗り込むときにも安心してバランスを取っていられる。タンデマーが座っても圧迫感はないが、シート上で前後に動く範囲が少なくなるため少しきゅう屈に感じる
●タンデマー:身長151cm/体重43kg
シート高が低めのため乗り降りがしやすい。座面はスリムながら長さがあるおかげか、ライダーとの間にも空間ができるほど。ライダーとの一体感はそれほど高くないが、しっかりしたグラブバーのおかげで安心感は高い


SPECIFICATIONS

全長×全幅×全高
2,040×805×1,110mm
軸間距離
1,365mm
シート高
790mm
車両重量
133kg
エンジン型式・排気量
空冷4ストロークOHC 2バルブ 単気筒・249cm3
最高出力
14kW(18ps)/7,500rpm
最大トルク
19N・m(1.9kgf・m)/6,500rpm
タンク容量
9.6L
価格
51万4,500円

STAFF’S IMPRESSION

マンボサイトー

マンボサイトーのインプレッション

トータル的に扱いやすいモタードだ

ラインナップのなかではあまり目立たないモデルだけど、試乗してみると「けっこう、よくできてるんだよなぁ…」という印象が強い。モタードとしては若干マイルドな加速感だけど、もちろん信号待ちからのダッシュでは四輪を一気に引き離せるほどのパワーがあるし、旋回性は素直でクイック。シートが低いのも、街中では非常に重宝するポイントだ。トータル的に完成度が高く、誰にもオススメできるモタードじゃないだろうか。


タロー

タローのインプレッション

扱いきれる楽しさがある

見た目ではそこそこ車格があるように感じるのだが、足つきもよく、乗った感覚もかなりコンパクト。とはいえシートが前後に長いので、きゅう屈感はない。走り出せば、トルクがあるので低回転でトコトコ走ることも可能だが、高回転まで滑らかにエンジンパワーが増していくので、高速を維持して走り続けることもできる。何より、コンパクトな車体と入力に対して二ュートラルなハンドリングは、バイクを操る楽しみを堪能させてくれる。


ヤクシジのインプレッション

訓練の行き届いた、有能な小型犬!

カリッと元気な乗り味で「加速したい」とアクセルを開けた瞬間にはスパッと加速し、曲がりたいと思ったらクイックに方向転換。こちらの意思を汲んでつねに半歩くらいリードしてくれ、パワーをもてあますこともないので、とにかく気持ちがいい! 走る、曲がる、止まる、それだけのことがこんなに楽しいものなのかと驚かされた。うまい人とテニスのラリーをすると楽しいというけれどまさにそんな感じ。たとえるなら“鍛えあげられた有能な小型犬”!

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