ミドル史に名を刻む名車たち vol.05 HONDA NSR250R〈ヒストリー編〉

つねに時代の先端技術を投入されたマシンだけに、86年の誕生から、数度にわたるモデルチェンジが行なわれたNSR。その進化の過程を紹介しよう

写真:武田大祐

HISTORY OF NSR250R 〜NSR250R進化の遍歴〜

※年式は発売年ではなく、あえてモデルイヤーを記載しています

‘87 MC16
WGPで得た最新テクノロジーのフィードバックや市販レーサーRS250と同時開発されるなど、絶対的な運動性能を追求。若者を中心に大ヒットを記録し、レプリカブームを決定付ける
‘88 MC18(SP)
電子制御のPGMキャブレターを採用し、リヤタイヤもワイドになりラジアル化。フレームもアルミ5角形断面ツインチューブとなるなど、進化を遂げる。また、φ32㎜に大径化されたキャブレターや、量産市販車として世界初となるマグネシウム製ホイールを装着した特別仕様車、SPも登場
‘89 MC18
キャブレターやイグニッション、RCバルブなどをコントロールするPGMシステムが進化。さらにカウルの形状変更や5角形断面のアルミスイングアームも採用する
‘89 MC18(SP)
マグネシウム製ホイールのほか、前後減衰力調整機構付きのサスペンションを装備。さらに乾式クラッチを採用するなど、走りの装備満点の3,000台限定車。カラーリングも変更されている
‘90 MC21
エンジン各部を新設計するとともに、PGMのプログラミングもさらに進化。また、目の字断面構造を持つアルミツインチューブフレームや、チャンバーを効率よくレイアウトできる新形状のアルミスイングアーム(ガルアーム)も採用。大きな変貌を遂げた
‘92 MC21(SP)
写真はSPだが、SPと同じ乾式クラッチとサスペンション調整機構を装備したシリーズモデル、NSR250R SEも登場。その他の装備は通常のNSR250Rと同じで、限定車であるSPを含め、3タイプのラインナップとなった
‘94 MC28(SP)
カードキーの採用など、PGMシステムがさらに複合化。また、キャブレターを新設計とし吸入効率の向上とコンパクト化が図られている。そして外観的にも大きな特徴であるリヤのスイングアームが片持ちプロアーム式となった
‘96 MC28(SP)
機能的な面での変更はなく1,000台限定のSPには、WGP500㏄クラスチャンピオンマシンのカラーリングである、レプソルカラーを採用。ちなみに仕様諸元にも変更はない

他メーカーのライバルたち

NSRの登場によりレーサーレプリカブームはさらに過熱するワケだが、他メーカーのライバルマシンの存在も、ブームをより熱くしたのだった。

 

まず、かつて2ストロークメーカーであったヤマハは、80年代に入ると最後の2ストと位置付けたRZシリーズが大ヒット。まさしくレーサーレプリカの元祖である。そしてWGPでもホンダとヤマハは最大のライバルとして互いにしのぎを削るのだ。市販車ではRZからTZRへバトンを受け継ぎ、後方排気やV型エンジンの採用など、戦闘力を高めていった。

YAMAHA TZR250

 

次にスズキはアルミフレームを搭載したRG250Γを他に先駆けて発表。その後はV型となり、ペプシやラッキーストライクなどといった、WGPマシンのカラーリングを採用したモデルも発売。また、96年に最新モデルを発表するなど、最後まで2ストレプリカを作り続けることとなる。

SUZUKI RGV250Γ

 

そして現在は2ストロークのイメージが薄れているカワサキだが、70年代後半にWGP250㏄クラスを席巻したGPマシンのテクノロジーを受け継ぐKR250を84年に発表。シリンダーを縦に並べたタンデムツインという独自のエンジンレイアウトを持ち、その後、KR-1、そしてKR-1Rと80 年代末まで2ストレプリカモデルを開発するのだ。

KAWASAKI KR-1R

※本記事は『Under400』No.04(2007年4月8日発売)に掲載された当時の内容を再編しています

HONDA NSR250R 〈前編〉はこちらHONDA NSR250R 〈後編〉はこちら

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