ミドル史に名を刻む名車たち vol.04 SUZUKI GSX400FS IMPULSE〈後編〉

ミドル史に名を刻む名車たち SUZUKI GSX400FS IMPULSE

かつて多くのライダーから支持を受け、のちに多大な影響を与えたアンダー400 にスポットをあてる連載企画。各メーカーの4気筒モデルが出そろった80年代初頭のミドルシーンにおいて、最新装備の数々を惜しみなく搭載。しかし時代の流れのなかで短命に終わったスズキの意欲作を紹介する

※撮影車両はアフターパーツのビキニカウルを装着しています。

シャープなボディラインがスポーティさをより強調

15ℓの容量を持つフューエルタンクは、細く長いスリムな形状。ライディング時の安定感を高めるホールド性と低シート高を追求したシングルシート風の段付きシートも特徴的な装備であった。そしてタンクからシートにかけてのシャープなラインは、スポーティな車体フォルムを演出。ブラック塗装がほどこされたエンジンやマフラーも、精悍な印象を与えていた。

 

スズキがインパルスを発売したのは82年の6月下旬だが、ベースとなった81年4月発売のGSX400Fとの間には実はもう1台、GSX400FⅡというバリエーションモデルが82年3月に発売になったばかりであった。このように他メーカーのライバルモデルだけでなく、同じメーカーのモデルとも販売時期が重なるような、今では考えられない、激しいニューモデル攻勢の時代であったのだ。

そしてインパルスの登場以後、ミドルクラス戦線は激化の一途をたどり、ニューモデルが続々と投入されるようになってゆく。それはインパルスに対しても例外ではなく、スズキは早くも翌年にはGSX400FWをデビューさせる。そのためインパルスは短命に終わってしまうのだ。

 

しかし、意欲的に最新技術を数々を投入したメカニズムやシャープなフォルムなど、存在感とその意義はやはり大きかったのだろう。その証拠にスズキは86年にミドルのマルチ戦線に、ハンス・ムートがデザインした水冷エンジンの別モデルを投入するのだが、そこでインパルスの名前を再び登場させる。また、90年代に入りネイキッドが主力モデルとなると、3代目の新たなインパルスも誕生。その後、いったんカタログから姿を消すが2004年には4代目が登場する。そして08年には初代インパルスの赤と黒のカラーリングを復刻させたスペシャルエディションもラインナップされた。短命に終わった初代だが、その衝撃は後々まで影響を与えたのだ。

マシンギャラリー

GSX400FS IMPULSEが発売された1982年の出来事

  • ホテルニュージャパン火災発生
  • 日航機羽田沖墜落事故発生
  • 500円硬貸発行
  • フォークランド紛争勃発
  • ソ連ブレジネフ書記長死去
  • 東北新幹線大宮〜盛岡間開業
  • 上越新幹線大宮〜新潟間開業
  • 長崎大水害発生
  • グレース・ケリー自動車事故にて死去
  • 第1次中曽根内閣発足
  • ヒット曲:あみん『待つわ』、薬師丸ひろ子『セーラー服と機関銃』、岩崎宏美『聖母たちのララバイ』、坂本龍一+忌野清志郎『い・け・な・いルージュマジック』、サザンオールスターズ『チャコの海岸物語』
  • ベストセラー:穂積隆信『積木くずし』、江本孟紀『プロ野球を10倍楽しく見る方法』
  • ヒット映画:『E.T.』『ブレードランナー』『少林寺』『蒲田行進曲』『転校生』『汚れた英雄』
  • 流行語:「逆噴射」、「ネクラ」

※本記事は『Under400』No.09(2008年6月6日発売)に掲載された当時の内容を再編しています

SUZUKI GSX400FS IMPULSE 〈前編〉はこちらSUZUKI GSX400FS IMPULSE 〈ヒストリー編〉はこちら

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電話番号
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