実は9月の終わりに、海外に先駆けて栃木県はツインリンクもてぎにて行なわれていたCRF1000Lアフリカツインの撮影会。
そこでは、新型のアフリカツインだけでなく、過去モデルや歴代のパリダカ参戦マシンも紹介されていたので、新型の情報&過去モデルの情報、どちらもお知らせしていこうと思う。
まずは新型モデルの詳細に迫るとともに、リッタークラスのアドベンチャーモデルとなれば多くの人が気になるであろう足つきのレポートからお送りするぞ!!
部分カット
ワイドなハンドルやボリュームのある燃料タンク(18.8ℓ)が、アドベンチャー気分を盛り上げてくれる。固定式のスクリーンはサイズ的にはさほど大きくはないが、縦に長く、角度もかなり立っているので、ライダーへの走行風をかなり軽減してくれるのではないだろうか
ウインカーとナックルガードが平行に並んでいるので、真正面から見るとウインカーがナックルガードに埋め込まれているようにも感じられ、とてもスッキリとした印象を受ける
車体を真上から見ると、その細さがよくわかる。シートのシェイプ具合や、サイドカバーの張り出しの少なさ、エンジンのコンパクトさが与えてくれる、またがった瞬間のスリムな印象はリッタークラスのアドベンチャーモデルの中では1、2を争うのではないだろうか
リヤタイヤには150/70サイズの18インチタイヤを採用。前後ともスポークホイール&チューブタイヤ仕様となっているうえ、フロントタイヤは90/90の21インチタイヤと、本格的なオフロード走行が意識されていることがわかる。ちなみに、ホイールカラーはトリコロールのみがゴールドで、それ以外のカラーはブラックとなる
リヤショックには、ダイヤル式の油圧プリロードアジャスターを装備。簡単にプリロード調整が行なえる設計だ。またフロントフォークには、ショーワ製のフルアジャスタブル倒立フロントフォークを装備し、オフロード走行にも対応した230mmのロングストロークを確保
アッパーカウルの内側におさめられたラジエター。スチール製のセミダブルクレードルフレームをまたぐように、左右にラジエターが振り分けて配置されている
アッパーカウルの内側におさめられたラジエター。スチール製のセミダブルクレードルフレームをまたぐように、左右にラジエターが振り分けて配置されている
フロントブレーキはニッシン製の4ポットラジアルキャリパーと、φ310mmのウェーブ形状のフローティングディスクをダブルで装備。フロントフェンダーは前部と後部でデザインがわけられ、後ろ半分がブラックアウトされることで、ブレーキまわりと違和感なく溶け合っている
テールカウルに沿うように跳ね上げられたサイレンサーはアフリカツインの伝統に則ったモノ。異型サイレンサーはエンド部分の四角いデザインが、アクセントになっている
イグニッションをオンにすると、自己診断をかねてすべての表示が点灯するオープニングセレモニーが始まる。下段には平均燃費や平均速度、外気温なども表示可能なのが見て取れる
4つのパートに分割されたデジタルメーターを採用。上側に、スピード・タコメーターと燃料計を、下段にはギヤポジションやトリップメーターなどを、左右に各種インジケーター類を配置している
テールカウルを短めに設定し、フェンダー部分を長めに取ることでリヤまわりをスッキリと見せている。キャリア一体型のグラブバーには荷かけフックが4ヶ所備えられ、積載性への配慮に抜かりはない
シフトペダル&ステップには転倒時に破損しにくい可倒式を採用。ステップ自体は、オフロード向けのギザギザの付いた形状となるが、上部にはラバーが装着されている。極端なワイドタイプのステップではないけれど、“オフロードでの走行性能も追求した”という主張が伝わってくる部分だ
フロントカウルの左側に、昨今のアドベンチャーモデルでは必須装備ともいえるシガーソケットアウトレットを標準装備する
右側のスイッチボックスは、キル&セルスイッチとハザードスイッチのみのシンプルな構成。セルスイッチは、キルスイッチと一体型のコンパクトなタイプとなる
前後ともに同じ形状を採用した細長い矢じりのような形状のクリアウインカーがとてもスタイリッシュな印象だ。なお、ウインカーも含めた全灯火類はLEDを採用している
ちなみにCRFのエンジンに採用されているカムシャフトは、CBR1000RRと同じ素材の軽量カムシャフトを採用しているという。また、ブレーキペダルの形状はCRF450ラリーとほぼ同形状のモノを採用するなど、各所でホンダのレーシングテクノロジーを感じることができる
7,500rpmで95psを発揮する新開発の水冷4ストローク OHC4バルブ 並列2気筒エンジンは、ボア92.0mm×ストローク75.1mmに設定した270度位相クランクを採用。どの回転域においても良好なレスポンスが得られることをねらったという。ウォーターポンプと燃料系のポンプを共用のバランサーシャフトによって駆動することや、クランクケースを低い位置にデザインすることでコンパクトなパッケージングを実現し、車体のスリムさに貢献している
カラーリングによってグラフィックは異なるが、アッパーカウルのサイド部分に“AFRICA TWIN”のロゴが入る点は共通だ。また、黒いサイドカバー部分もただの樹脂パーツそのままではなく、シボ加工をほどこすひと手間が加えられている
シートはライダー側とタンデマー側で分割式となっていて、シートの色づかいも車体のカラーリングによって異なる。グラブバーはかなり大型なので、タンデム時や荷物の積載時には重宝することだろう。テールカウルのツメやグラブバーにボルト取り付け穴が用意されていることから、パニアケースの装着が強く意識されているのがわかる
クラッチ・変速操作を自動化したデュアル・クラッチ・トランスミッションは、従来のタイプよりもコントロール性能を向上したモノが搭載されている。自分でシフトタイミングを選択可能なマニュアルモード、燃費・クルージング性能を追求したDモード、スポーティな走りを楽しめるSモードに加え、オフロード走行時にクラッチのすべりを最小限にし、良好なトラクション性能に貢献する“Gスイッチ”も装備
写真のスイッチを押すことにより、任意のタイミングでリヤ側のABSをオフに設定することができる。オフロードを楽しく走れる性能を追求したというホンダのこだわりが感じられる部分だ
足つき(左が通常時で右がローポジション時)
車体を外から見ているとかなりコンパクト&スリムに見えるのだけど、やっぱりリッタークラスのアドベンチャーモデル。身長170cm弱では、両足のツマ先がギリギリ着く感じだった。片足ならば、お尻をずらさずとも土踏まずの辺りまで設置するので、他車の同様なモデルと比較すると、軽量な車体もあって足つきに対する不安は少なめだろう
実はシートの差し込み位置を変更することで、20mmシート高を低くすることができる。シート位置を下げた際にはタンクとシート部分のくぼみが気になったり、シートだけが下がってしまうためライディングポジションにも違和感があったりというデメリットはあるけれども、足つき性の向上による安心感を求める人にはうれしいモノ
タンデム時には格段に足つきがよくなったのが印象的だった。ご覧のとおり、片足をベッタリと着けることができる。タンデムのしやすさは◎。がっしりしたグラブバーと座面の広いうえに一段高くなったタンデムシートのおかげで成人男性が2人でタンデムをしてもかなり余裕を感じた