速さや最新装備だけでは語れない、バイク本来の魅力を追求し続けるロイヤルエンフィールド。その象徴ともいえる『BULLET(ブリット)』に、待望の648㏄ツインエンジンを搭載した『BULLET 650』が登場した。クラシカルな佇まいと力強い走りを融合した新世代のブリットを、実際に走らせて確かめてみた。
伝統を守りながら進化するモーターサイクルブランド

1901年に英国で誕生したロイヤルエンフィールドは、現存する二輪ブランドの中でも非常に長い歴史を持つメーカーのひとつだ。1950年代にはインドでの生産を開始し、現在ではインド・チェンナイを拠点に世界中へクラシックなスタイルのモーターサイクルを送り出している。
ロイヤルエンフィールドの魅力は、単に昔のスタイルを再現しているだけではない。伝統的なデザインや機械感を大切にしながら、現代のライダーが日常的に楽しめる扱いやすさや信頼性を追求している点にある。
メーカー自身が掲げる『Pure Motorcycling(ピュア・モーターサイクリング)』という考え方のとおり、刺激的なスペック競争とは一線を画し、走ることそのものを楽しむためのバイク作りを続けている。
現在のラインアップには、349㏄クラスのクラシックモデルから648㏄ツインシリーズ、アドベンチャーモデルまで幅広いカテゴリーが揃う。その中でもBULLETは、ブランドの歴史を象徴する特別な存在だ。
ロイヤルエンフィールドにおける『BULLET』とはどんな存在なのか?

ロイヤルエンフィールドの歴史を語るうえで、決して外すことのできないモデルが『BULLET』だ。
初代BULLETが登場したのは1932年。以来、長い年月をかけて進化を続けながらも、シンプルで力強いスタイルや、飾らない走りの楽しさという根本的なキャラクターを守り続けてきた。
BULLETという名前は、単なる車名ではなく、ロイヤルエンフィールドそのものを象徴するブランドアイコンと言える存在だ。クラシカルなタンク形状、丸型ヘッドライト、堂々としたライディングポジションなど、ひと目でBULLETと分かる個性は、時代が変わっても受け継がれている。
今回登場したBULLET 650は、その伝統をさらに大きな排気量で表現したモデルだ。搭載されるのは、すでにINT650やCONTINENTAL GT 650などで評価されている648㏄並列2気筒エンジン。
ただ単にBULLETへ大きなエンジンを載せただけではない。手描きのピンストライプや立体的なウイングバッジ、特徴的なヘッドライトまわりのデザインなど、BULLETらしいディテールを残しながら、650ccならではの余裕ある走りを手に入れている。
つまりBULLET 650は、最新の性能を追い求めるモデルではなく“長く付き合えるバイク”というBULLET本来の魅力を、より余裕ある排気量で楽しめる存在なのだ。
眺めても、走らせても味わい深い。大人が楽しめる650ccクラシックバイク

存在感のある大柄なボディは所有する喜びを感じさせる
ブリット650は「クラシック650」「スーパーメテオ650」「ショットガン650」と共通する650シリーズの車体をベースにしている。クラシック650とはシートやフェンダー、ハンドル形状などに違いがあるものの、多くの部分で共通のパーツを採用している。
実車を目の前にすると、まず感じるのはその存在感だ。前輪には19インチ、後輪には18インチのホイールを採用しており、650クラスとは思えないほど堂々としたサイズ感。またがった瞬間に最近のバイクにはない“重厚感”も感じられる。金属パーツがふんだんに使われているからだ。その大きさ・重厚感は、街中で停めているだけでも絵になるし、所有感も高い。
一方で、650クラスとしてはやや重めな印象。バイクを押したり、駐車場で方向転換したりする場面では重量を感じるが、決して“重くて無理!”というレベルではない。大型二輪免許を教習所で取得していれば、慣れさえすれば問題はないだろう。
クラシカルな雰囲気が満載!

ブリット650の大きな魅力のひとつが、エンジンまわりの造形だ。搭載されるのは、空冷648ccの並列2気筒エンジン。深く刻まれた冷却フィンや大きなクランクケースは、現代のバイクでは少なくなった機械らしい雰囲気を感じさせる。
エンジンを囲むフレームや、左右に伸びるメッキ仕上げのマフラーもデザインの一部として美しくまとめられている。とくに「ピーシューター(豆鉄砲)」と呼ばれる細身のマフラーは、左右どちらから見てもクラシカルな雰囲気を演出。
最近のバイクは性能を追求するために樹脂パーツを多用することも多いが、ブリット650は金属パーツならではの質感を大切にしている。それが、単なる移動手段ではなく「眺めて楽しめるバイク」につながっている。
急がず、ゆったり走る楽しさを教えてくれる

走り出して最初に感じるのは、ブリット650の穏やかなキャラクターだ。ライダーに「もっと速く走れ」と求めてくるような刺激的なバイクではなく、景色を楽しみながらゆったり走ることが楽しい。クルーザーのような余裕ある乗り味で、どっしりとした安心感がある。
車体の低い位置にエンジンを配置していることで重心が低く、ハンドリングも素直。ハンドルを切ったぶんだけ自然に曲がってくれるため、バイクの操作に不慣れなライダーでも扱いやすいフィーリングだ。純然なクルーザーとネイキッドの中間的であると感じる。
そのため街乗りでは安心して走れる。一方ワインディングでは、前後17インチホイールを採用する現代のスポーツマシンのような軽快さはないが、逆にどっしりと落ち着いたハンドリングなので、景色を楽しみながら、マシンなりのペースで走るのが気持ちいい。
数字では表せないエンジンの鼓動感が魅力

ブリット650に搭載されるエンジンは、270度クランクを採用した並列2気筒。難しい言葉で説明すると不等間隔爆発という特徴を持っているが、実際に乗ると「独特の鼓動感」として感じられる。
最高出力は47PS。現在の650クラスとしては決して突出した数字ではない。しかし、ブリット650の魅力はスペック表だけでは語れない。アクセルを開けた時に感じる、後輪が路面をしっかりつかんで進んでいく感覚。低回転域からしっかりとトルクが出ているので、ストップ&ゴーを繰り返す街中でも気負うことないない。エンジンの鼓動やマフラーから奏で荒れる排気音を感じながら走る時間が心地いい。
速さよりも“バイクを操っている”という感覚を大切にしたい人には、大きな魅力になるだろう。
高速道路でも余裕がありツーリングにも対応

クラシックな見た目から街乗り向きと思われがちなブリット650だが、高速道路での走行も十分こなしてくれる。100km/h巡航はもちろん、120km/h程度の速度域でも余裕を持って走ることが可能。エンジン回転が高くなってもストレスが少なく、長距離ツーリングでも快適に楽しめる仕上がりだ。
ブリット650の魅力は数字だけでは語れない

90年以上にわたって受け継がれてきたブリットの歴史の中で、ツインエンジンを搭載したモデルは今回のBULLET 650が初となる。伝統あるスタイルを守りながら、650ccという新たな心臓部を得たブリット650は、まさに次の時代へ進むフラッグシップモデルと言える存在だ。
圧倒的なパワーや最新の電子制御を武器にするバイクではない。しかし、金属パーツをふんだんに使ったクラシカルで味わい深いスタイル、そしてライダーを急かすことなく、気負わず自然体で走りを楽しめる扱いやすさが、ブリット650ならではの魅力であると、今回の試乗を通して感じた。
ライディングポジション&足つき

ライダー:172㎝・68㎏
一般的なバーハンドル装着車と比べ、気持ち手前&高さがあるハンドルで、ステップは自然な位置にあり、乗車姿勢をとるとやや上体が起きるリラックスしたライディングポジションになる。シート高は795㎜と決して高い数値ではないが、シート幅があるため足つきは両足だとカカトが浮く。しかし、エンジンの搭載位置が低いこともありバランスはとりやすく、不安は感じない。片足であればカカトまでつき、車体も問題なく支えられた。

ディテールチェック|クラシックな外観に込められた細部のこだわり



ブリット650の魅力を高めるオプションパーツ群

ロイヤルエンフィールドは、マシンの魅力を高めるオプションパーツを各車両に設定している。ブリット650も同様。ここで紹介する車両に装着されているのはその一部なので、ブリット650をねらっている人は、ロイヤルエンフィールドのホームページをチェックしよう。

カラーバリエーション|2色のシックなカラーを選択可能

ブリット650にはキャノンブラック(左)とバトルシップブルー(右)の2色が用意されている。価格はキャノンブラックが98万100円、バトルシップブルーが99万5,500円だ。
CONTACT
- 問い合わせ先
- ロイヤルエンフィールドジャパン(総輸入発売元:ピーシーアイ株式会社)
- URL
- https://www.royalenfield.co.jp/

























