軽量な車体と強烈なビッグシングルで、オン/オフを問わず支持されてきたKTM 690シリーズ。その690 ENDURO Rをベースに、多くのライダーが夢見てきたラリー仕様をKTM自ら形にしたのが「690 RALLY」だ。ダカール仕込みのDNAをまとった、新たな冒険マシンが日本にやってくる。
「自分で作る690ラリー」から「メーカー純正の完成形」へ

2027年モデルとして日本導入が発表されたKTM 690 RALLYは、単に690 ENDURO Rへ大型タンクやスクリーンを追加したモデルではない。
KTMは、これまで多くのライダーが690 ENDURO Rをベースに独自のラリー仕様を製作してきたことを踏まえ、690 RALLYをその理想をメーカー自身が具現化した「ファクトリービルド」のラリーマシンと位置づけている。
ダカールラリーをはじめとする世界最高峰のラリー競技で培ったノウハウを、市販モデルへ落とし込んだ1台というわけだ。

ラリータワーから重量配分まで“それっぽい”では終わらない

フロントには専用設計のラリータワーとウインドスクリーンを装備。高速道路や長距離移動での防風性能を高めるとともに、コックピットはナビゲーション機器や各種アクセサリーの取り付けまで考慮したラリー競技由来のレイアウトとなっている。
さらに重要なのが、追加燃料タンクを車体前方にも配置したこと。単純に燃料容量を増やすだけではなく、前後の重量バランスまで考えた設計とされ、オフロードでの安定性とコントロール性を追求している。
“ラリー風の外装を付けた690”ではなく、車体そのものをラリーアドベンチャーとして作り込んでいるところが大きなポイントだ。
大型ADVでは躊躇する道、その先へ行くためのサイズ感

690 RALLYの燃料タンク容量は約20L。フロントとリアにタンクを配置し、それぞれを個別に管理できる燃料マネジメントシステムを採用する。
それだけの燃料搭載能力を持ちながら、燃料を除く車両重量は161.5㎏に抑えられている。現行690 ENDURO Rの燃料タンク容量は約13.3L、燃料なし重量は152㎏。つまり690 RALLYは、ラリー装備と約20Lの燃料システムを与えながら、ベースとなる690らしい軽快さをできるだけ失わない方向で仕立てられたモデルと見ることができる。
200㎏を大きく超える大型アドベンチャーバイクとは違う「軽さを武器に奥へ入っていくアドベンチャー」という690ならではの魅力が際立つ部分だ。
最新LC4は79PS! ラリー顔でも中身はかなり速い!!

搭載するのは692.7ccの水冷4ストロークSOHC単気筒LC4エンジン。最高出力は79PS/8,000rpm、最大トルクは73Nm/6,750rpm。6速トランスミッションを組み合わせる。さらにライディングモード、コーナリングABS、トラクションコントロールといった現代的な電子制御も搭載する。
単気筒ならではの力強いトルクを生かした低速域でのコントロール性から、高速道路を使った長距離移動までこなせるのがLC4の強み。ラリースタイルだからといって「ゆっくり旅するだけ」のマシンではない。
21/18インチ&シート高935㎜

ホイールサイズはフロント21インチ、リア18インチ。フロントには300㎜ローター+Brembo製2ピストンキャリパー、リヤには240㎜ローターを採用する。
シート高は935㎜。これは気軽な街乗りアドベンチャーというより、オフロードでの走破性を優先した本格派ならではの数値だ。燃料タンク容量20L、燃料を除く重量161.5㎏、79PSのビッグシングル、そして21/18インチホイール。
スペックを並べるだけでも、690 RALLYが“大型ADVを小さくしたバイク”ではなく、エンデューロを起点に長距離航続能力を与えたマシンであることが見えてくる。
これは『690乗りが欲しかったバイク』なのかもしれない

KTM自身が690 RALLYを「エンデューロモデルならではの軽快さと、本格ラリーマシンの航続性能および装備を融合させたモデル」と説明しているのは象徴的だ。巨大なアドベンチャーバイクでどこまでも走るのとは、少し方向性が違う。舗装路を走り、林道へ入り、その先のさらに荒れた道まで行ってみる。あるいは実際にラリーイベントへ持ち込む。
これまでユーザーが690 ENDURO Rをベースに時間と費用をかけて作り上げていた、そんな“理想の690”を最初からメーカーが用意した690 RALLY最大の魅力は、そこにあるのかもしれない。なお、2027 KTM 690 RALLYの日本発売は2027年1月を予定し、価格は現時点では未発表となっている。
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