バイク用語辞典

『さ行』から始まる用語

  • サービスエリア(SA)

    地図上では「SA」と略記される。高速道路や自動車専用道路などに約50㎞ごとに設置されている休憩施設で、駐車場やトイレ、レストラン、売店、ガソリンスタンドなどが設けられている。大型サービスエリアのなかには宿泊施設や入浴施設があることも。一般的にはパーキングエリアよりも規模が大きいものを指す。

  • サービスマニュアル

    1台のバイクの整備方法を簡略に解説した本のこと。バイクショップもこれを見て作業をする場合が多い。

  • サーモスタット

    水冷エンジンなどに付いている装置。つねにエンジンを適温状態に調節するために、水温が低いときは水路を狭めて冷却水の量を減らし、逃がす熱の量を少なくする。逆に水温が高くなると水路を広げて積極的な放熱をうながす。

  • 最高出力/最大トルク/rpm

    エンジンが発揮する出力・トルクの最大値。この数字が大きいほどパワーのあるマシンということになる。rpmは1分間あたりのエンジン回転数のことで、カタログなどに「最高出力■kW(●ps)/10,000rpm」と表記されていれば、毎分1万回転時に■kW(●ps)の最高出力を発揮することを示している。これは単に最高出力や最大トルクの最高値を表すだけではなく、どの回転数で最大数値を発揮するのかで、エンジンの特性や方向性がわかることも。かつては最高出力をps(フランス馬力)、最大トルクをkgf・m(重量キログラムメートル)で表示していたが、1999年の新計量法に基づいて国際単位系が使用されることになり、最高出力はkW(キロワット)、最大トルクはN・m(ニュートンメートル)が使われるようになった。ただし現在でも併記する形が普及している。

  • サイドカバー

    シートの下、車体の横に付いているカバーのこと。なかはエアクリーナーボックスになっていたりバッテリーが入っていたり、モデルによってさまざま。

  • サイドスタンド

    左のステップの下辺りにある(ごくまれに右に付いているモデルもある)、バイクを停めるとき倒れないようにする支えのこと。多くのバイクは、安全のためにサイドスタンドが出たままギヤを1速に入れるとエンジンが止まるようになっているモデルが多い。

  • サイドバッグ

    リヤシートのサイドに設置するバッグのこと。そのため、タンデムでも荷物を積載することができる。

  • サイレンサー

    マフラーの後端部で排気音を小さくするパーツ。メガホンタイプや円筒状など、形状はさまざま。

  • サスペンション

    路面からの衝撃を吸収するタイヤと車体の間の懸架部分。パーツとしてはフロントフォークスイングアームリヤショックがその部分にあたる。もしサスペンションがなかったら路面からの衝撃が激しすぎて安定して走れない。

  • サドルシート

    かつてラインナップしていたエストレヤカスタムやアメリカンの一部の車種に採用されているような鞍型のシートのこと。タンデムシートは分離している。

  • シート高

    シート座面の一番低い部分と地面との距離のこと。足つき性の参考にはなるが、シートの幅が広い場合はシート高が低くても足が着かないこともあるので、一概には言えない。

  • シートバッグ

    タンデム(リヤ)シートの上に積載するバッグのことで、リヤバッグともいう。ベルトやストラップを車体の荷かけフックやフレームなどに取り付けて固定する。本来人間が乗る場所に装着するので重量的な問題が発生することが少なく安定感が高い。しかし、タンデムシートを占拠するためタンデムツーリングでの使用はできないことが多い。

  • GPS

    衛星を利用して自分の位置を把握できるシステム。

  • GPライダー

    WGPと呼ばれていた時代や現在のMotoGP(ロードレース世界選手権)に参戦しているライダーのこと。

  • シールチェーン

    ローラー部にグリス(潤滑剤)を封入してあるチェーンのこと。フリクションは増えるが耐久性にすぐれているなどの利点から、ほとんどの市販モデルが採用する。

  • シールド

    ヘルメットに装着されている(あるいは装着する)、風よけのパーツ。フルフェイスヘルメットには標準装備されているが、ジェットタイプのヘルメットには付いていないこともある。

  • JMCA

    全国二輪車用品連合会。ユーザーが安心できる用品を購入できるよう、バイク用品の製造・流通販売を行なう業者が主体となって発足した組織。一番身近なのはマフラーで、「JMCAのマークがあれば、違法マフラーではない」といった、違法・合法の指標になっている。

  • ジェット(型)

    頭部から両頬まで保護する型のヘルメット。ジェット(型)ヘルメットとも呼ばれる。

  • 軸間距離(ホイールベース)

    前輪と後輪の中心(軸:アクスルシャフト)を結んだ距離のこと。「ホイールベース」の欄へ。

  • シケイン

    サーキットのコーナーの一つで、マシンの速度を減速するために設置されている半径の小さなカーブのこと。コースによっては連続している場合もある。

  • シシーバー

    タンデマーの背中に位置する背もたれ。アメリカンやビッグスクーターのカスタムパーツとして人気がある。

  • 示談

    辞書的な意味合いにのっとれば「争いをやめて話し合うこと」、あるいは「裁判によらずに当事者間に成立した和解契約」を指すが、交通社会においては、事故が起きた際に警察の事故証明を受けず、当事者間で念書・金銭の受け渡しをもって暗に処理してしまうことを意味することが多い。なお、事故が発生したとき、当事者には警察へ報告する義務がある(道路交通法第72条)ので、事故現場における当事者間の示談交渉は厳禁。

  • 自動遠心クラッチ

    クラッチ操作をしなくてもギヤチェンジができるクラッチのこと。とはいってもスクーターのように完全なオートマチックではないので、シフトチェンジ操作をしなくてはならない。

  • 自賠責保険(強制保険)

    自動車損害賠償責任保険の略。排気量を問わず公道でバイクを走らせる場合、法律で加入が義務付けられている保険で、加入していないと刑事罰と行政罰を受ける。強制保険ともいわれる。人身事故の対人賠償のみが補償対象で、支払いの限度額が設定されているため、限度を超える額の対人賠償や対物賠償は自賠責だけではまかなえない。

  • シフトアップ/ダウン

    shift =変える。シフトアップ(ダウン)はギヤを入れ替えることを指す。シフトアップならば「1速→ 2速」のようにギヤを上げることを、シフトダウンならば「2速→ 1速」のようにギヤを下げることを意味する。シフトチェンジとも。

  • ジムカーナ

    舗装路(自動車教習所や貸切駐車場などのクローズドコース)で行なわれるパイロンスラロームのタイムトライアル競技。パイロンを並べて作られたコースでスタートからゴールまでのタイムを競う。挙動の不安定な低速域で速さを追求する、非常にテクニカルな競技といえる。

  • ジャイロ効果

    物体が回転すると、回転軸を中心に安定しようとする力。地球の自転やコマにもジャイロ効果が働く。バイクでは前後輪とエンジンのクランクシャフトに大きなジャイロ効果が発生する。

  • 車検

    正確には自動車検査登録制度。バイクの持ち主を登録し、車両が安全基準を満たしているかを検査する。250cc超のバイクは公道を走るために、必ず車検を受けなくてはならない。

  • 車載工具

    バイクにあらかじめ装備されている必要最低限の工具のこと。一般的にあまり丈夫ではないが、使用頻度が高いものを中心にそろえられているので自分で買い足すときの参考にするとよい。

  • ジャックナイフ

    前輪に荷重をかけてブレーキングすることで後輪を浮かせるテクニック。

  • シャフトドライブ

    エンジンの動力をチェーンではなくシャフトでリヤタイヤに力を伝える駆動伝達装置。BMW・R1250GSなどに採用されている。ほぼメンテナンスフリーだが、構造上重いのが難点。

  • 車両型式

    車両メーカーが市販車を販売するにあたり、国に申請し認可を受けた際に与えられるコードネームのこと。車両を省略して型式と呼ばれることも多い。

  • 車両重量

    車両単体の重さに加え、燃料が満タンで、オイルや冷却水など走り出すのに必要な液体が入っている状態の重量のこと。装備重量ともいう。

  • 集合マフラー

    多気筒エンジンから出ているエキゾーストパイプをまとめてしまうこと。4本のパイプを1本にまとめてあれば、4in(イン)1、途中2本になる部分があれば4in2in1などという。表記上それぞれ4-1、4-2-1となることも。

  • シュラウド

    英語で“覆うもの”の意。バイク用語的に「シュラウド」というとオフ車のタンクシュラウドを指す。本来は水冷エンジンのラジエターに風を導くためのパーツだが、空冷エンジンのバイクにダミーとして装着されることもある。

  • シュラフ

    寝袋のこと。

  • 純正パーツ(部品)

    バイクを作っているメーカーが出しているパーツのこと。カワサキのバイクならカワサキ製のパーツが純正パーツ。

  • ショック(ショックアブソーバ)

    サスペンションの中核にある衝撃吸収装置のこと。スプリングとオイルダンパーを組み合わせて衝撃を吸収したり、バイクの傾きや姿勢を抑制するために用いられている。フロントフォークやリヤショックがそれに該当する。サスペンションと同一視したり混同するケースが多いが、厳密には別。

  • シリンダー

    エンジン内にあり、内部でピストンが往復する筒状の部分。気筒ともいう。これが2つあると2気筒。

  • シングル(単気筒)

    シリンダーが一つのエンジン。構造がシンプルなので整備性にもすぐれている。高回転には向かないが低速から粘りのあるトルクを発揮する。

  • シングルシート

    レーサーなどに用いられる一人乗り用のシート。

  • スーパースポーツ

    オンロードモデルでとくに高性能なフルカウルモデルを指す。ホンダ・CBR600RR、ヤマハ・YZF-R1などがそれにあたる。SSと書くことも。もとは世界GPやMotoGPなどロードレースの排気量制限に捉われることなく、かつレーサーの公道仕様版でもない高性能モデルを指す言葉として生まれた言葉でもある。1992年に登場したホンダ・CBR900RR以降、レーサーをモチーフとしない高性能フルカウルモデルを指すようになった。現在ではレースレギュレーションの変化により600㏄と1,000㏄クラスのスポーツモデルがレーサーベースとして用いられるようになったため、用語としての境界線があいまいになりつつある。

  • スーパーチャージャー

    過給機の一種で、排気を利用して吸気を加圧することで燃焼効率を高めようとするターボチャージャーと異なり、クランク軸の回転運動を利用して吸気を加圧する構造を指す。自然吸気以上に爆発的なパワーを得ることができる。パイク用として過去に純正採用された例はなく、ごく一部でチューニングパーツとして流通していたが、2015年にカワサキがニンジャH2で純正採用。現在では同社ニンジャH2シリーズのほかZ H2も純正採用する。

  • スーパーバイク

    MotoGPとは異なり、市販ベースのマシンで争う最高峰のレースカテゴリー。各メーカーのスーパースポーツモデルが参戦。世界選手権(WSBK)も行なわれている。

  • スーパーモタード/モタード

    モタードマシンを使用したレースおよびその使用車両のこと。もとはアメリカでオン/オフを問わず最速のライダーを決定するために始まったレースで、オン/オフが入り混じったコースを走るため、走破性の高いモトクロッサーに17インチのオンロード用ホイールとタイヤを履かせた車両を使用するのが一般的。

  • 水温計

    ラジエターに使われている冷却水の温度を示す計器。この温度があまりにも高いと、エンジンの発熱に冷却が追いついていないということになり、熱ダレ・オーバーヒートの恐れもある。

  • 水冷

    シリンダーの外側に冷却水を通してエンジンを冷却する構造。冷却水の熱はラジエターで外部に放出。高出力車に多く採用される。

  • スイングアーム

    フレームと後輪を接続しているパーツ。ピボット部分で稼動し、ショックユニットと組み合わさってリヤサスペンションになっている。

  • スカチューン

    外装やバッテリーを取りはらい、スカスカにしてスッキリ見せようとするカスタムのこと。

  • スクリーン

    バイクの車体前方に取り付ける外装パーツのこと。その多くは視界を確保するため透明な素材を使用し、風雨が直接ライダーにあたるのを防ぐ。これによりライダーの疲労軽減や、空気抵抗によるパワーロスを少なくできる。

  • ステアリング

    操舵装置。つまり、舵を取る(方向を変える)ための装置のこと。どれか一つの部品を指すのではなく、ハンドルやステムシャフトなど、方向転換に必要な装置全体を指す。ハンドル操作に異常があれば「ステアリングがおかしい」と表現することが多い。

  • ステアリングダンパー

    主にフロントフォークとフレームを結ぶように取り付けられている小型のダンパーのこと。走行時、急激なハンドルの動きを抑制するための装置。アフターパーツの社外品のほか、一部のモデルには標準で装備される。ステダンなどと略される。

  • ステップ(バックステップ/タンデムステップ/ステップボード)

    ライダーの足を置いておくのがステップ。タンデマーには専用のステップが後方に付いている。スポーツバイクなどで、バンク角を稼ぐためにステップを後部上方に移動させたものがバックステップ。クルーザーモデルにはボード状のステップを採用したモデルもある。

  • ストレッチコード

    荷物を固定する際に使用する伸縮性コード(紐)のこと。いくつかフックが付いていてバイクの一部に引っかけて荷物を固定する。ただし、しっかりと荷物に引っかけないと走行中に荷物が脱落する危険があるので注意。

  • スネル規格

    SNELLと表記される。世界でもっともきびしいヘルメットの安全規格の一つで、アメリカの「スネル記念財団」が作る基準。5年ごとに改正される。試験にパスするとヘルメットに「スネル規格品」のラベルが貼られる。耐衝撃性能の高いヘルメットの証ともいえる。

  • スパークプラグ(プラグ)

    シリンダー内で圧縮された混合気に高電圧で発生した火花を飛ばして着火させ、爆発させるパーツのこと。バイクを動かすのに欠かすことのできないものの一つ。プラグと略されることが多い。

  • スプロケット

    エンジンと後輪に付いている歯車のことで、その間をチェーンが結ぶ。エンジン側をドライブスプロケット、後輪側をドリブンスプロケットという。

  • スペック表

    spec。エンジンやタイヤのサイズなど車両の数値をまとめてある表のこと。

  • スポーク

    ハブとリムをつないでいるパーツのこと。また、ワイヤーでできたスポークを使用したホイールをワイヤースポークホイール(スポークホイール)といい、衝撃を吸収することに長けている。

  • スポイラー

    空気の流れを利用して、走行中の安定性を向上させる外装部品。車の後部に取り付けられるウイングもその一つである。

  • スマートキー(システム)

    キーを携帯するだけでイグニッションのオン/オフ操作ができるシステム。鍵穴がなくキーがないとハンドルロックの解除やエンジンをかけられないので盗難抑止効果も期待できる。

    ヤタガイ ヒロアキさんの投稿 2017年8月4日(金)

  • スラッシュガード

    エンジンガード」の欄へ。

  • スリックタイヤ

    まったく溝のない、レース用のタイヤ。乾いた路面では高いグリップ性能を発揮するが、溝がなく排水ができないためウェットな路面には向かない。

  • スリッパークラッチ

    シフトダウン時に荒いクラッチミートを行なうと起こる後輪のロックを防ぐ装置。二次的な効果としてクラッチレバーの操作が軽くなる。

  • スリップオン(タイプ)

    サイレンサーエキゾーストパイプの一部だけを交換する社外品のマフラーのこと。

  • スリップサイン

    タイヤの溝が摩耗して減っていることを知らせるために少し浅くなっている部分。スリップサインがある側面部には三角マークが記してあり、どこにあるかわかるようになっている。これが見えたらタイヤ交換が必要。

  • すり抜け

    渋滞中、クルマとクルマの間を通ること。

  • スロットルバルブ

    バタフライバルブ」の欄へ。

  • スロットルワイヤー

    アクセルワイヤー」の欄へ。

  • 正立(フォーク)

    アウターチューブが下になり、その中にインナーチューブがあるフロントフォークのこと。通常のフロントフォークはこの正立フォークだが、スポーツモデルやオフロードモデルなど一部の車両はそれを逆にすることで全体の剛性を高めた倒立フォークを採用している。

  • 絶版車

    現行販売されなくなった車種のこと。生産中止になった時点で絶版車と呼ぶので、年代の新しい車種から古い車種まである。

  • セパレートハンドル(セパハン)

    左右のグリップが独立したタイプのハンドル。ライダーは走行時に伏せた前傾姿勢になる。

  • セル

    スターターモーターによってクランクを回し、エンジンをスタートさせる方式。

    ヤタガイ ヒロアキさんの投稿 2017年12月27日水曜日

  • セルフステア

    人が乗っていないバイクを垂直にして後ろから押し、動き始めたら左右どちらかに傾ける。するとハンドルが勝手に切れ込んでいく。この状態をセルフステアという。これを活かすことによってバイクはラクに曲がることができる。

  • 前後連動ブレーキ

    前ブレーキ、または後ろブレーキのどちらか一方を操作すると、前・後輪、両方のブレーキが適切なバランスで作動するブレーキシステムのこと。コンビブレーキともいう。

  • センタースタンド

    サイドスタンドと違い、バイクを傾けずに停めておけるスタンドのこと。リヤタイヤを持ち上げるようなかっこうになるのでチェーンに注油するときなどは便利。ギヤが入らないためサイドスタンドだと坂道などで勝手に進む恐れのあるスクーターや、ツアラー的な要素を持つ車種によく採用される。

  • センタートンネル

    スクーターの構造に使われる用語で、左右のステップボードの間にある盛り上がった部分のこと。スポーツ性の高いスクーターほどこのセンタートンネルが高く、乗り降りがしづらくなる傾向にある。というのも車体剛性を確保するためにはフレームをより高い位置に通す必要があり、この部分が高くなってしまうのだ。一方、走行性能よりも、乗り降りなどの利便性や服装の自由度を優先するスクーターはこの部分をフルフラットにすることにこだわる。一口にスクーターといっても、このセンタートンネルがあるかないかで、スポーティな走りなのか? 利便性重視なのか? が判断できるのだ。

  • 走行会

    サーキットを走行するイベント。

  • 走行モード

    現在は出力を電子制御することが容易になり、雨天時にはタイヤが空転や横滑りを防ぐためパワーが唐突に発揮しにくくしたり、逆にサーキットでは何の制約がなくなるようなモードが搭載されている。このモードは走行中にも任意に変更が可能。フューエルインジェクション採用車がスタンダード化して以降、標準装備する車種が増加中。